枯れ枝に光る氷花
そらさん、昨日の写真でごく薄く知床の山が写っているのが3枚あるのですが、気づきましたか。青い空と海、
白い海氷、くっきり浮かぶ山々、ぜんぶそろうとよかったのですが。執念深いので、3月末まで流氷が居残ってく
れたら、去り際に実現するかもしれないという期待を捨てていません。
エジプトの政変で犠牲者がさらに増えるという状況が止まって、まずは少しほっとしています。報道を追いなが
ら、国家というまとまりがこれからどうなっていくのか、考えさせられました。生業の中心が自然経済から食料生
産に移行すると、互いに顔見知りという範囲を超える大きな集団ができ、やがて国家に発展します。そして個人
は富や地位を競うようになり、国家は領域拡大と他国に勝る国力を追求します。
自然経済が終わって、見知らぬ人々の間の分業と交換に支えられる社会になった以上、膨大な数の他人を秩
序ある形で結びつけるシステムなしで済ますことはできません。この1万2千年間ずっと、分散性に抗してどうや
って求心性を生み出すか、さまざまな模索がありました。
首相にはなれないでしょう。ロシアや中国は、宗教による国民統合を否定した比較的新しい歴史をもつので、生
ているようです。
ます。しかしその統合は作り出せませんでした。
中世は身分制社会でした。そしてその後を襲った近代市民社会は議会民主制を採用します。選挙で選ばれる
のは、財力・社会的組織における地位・名声などで一般人に勝る立場を確立した者かその代理人です。比較的
早く議会民主制を採用した国々で、いまは彼らの統治に対し、無名市民からの不定形な不信が湧き上がる状況
です。無名市民の不信は不定形ですから、分散性を強める作用があります。
呼びかけた無名市民のいずれも、それに代わる求心性はもっていません。いまは軍が秩序を担っています。こ
れからどうなっていくのかは、市民社会の形成が遅れた国の特殊な例というだけでなく、現代国家制度の行方に
かかわる新しい芽も含んでいるような気がしています。