エゾヒメアマナ ナノ医療の可能性

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

 大きめな目に付きやすい花はまだあまり咲いていません。でも気をつけないと見落としてしまいそうな

小さな花はいくつか見つけました。能取岬の枯れ草にまぎれて黄色い花弁を覗かせていたエゾヒメアマナ

は、背丈が5,6センチで花は1センチ強というところでしょうか。キバナノアマナやヒメアマナは本州

にも四国や九州にもありますが、この種は北海道、それも北や東に限られるようです。


 例えば同じ抗がん剤がある人には効果があるのに、別の人の腫瘍はまった抑えられないというようなこ

とがあります。内視鏡や造影剤を使ったCT、あるいはMRIの画像などでは、腫瘍の位置や大きさはわ

かっても、個人による薬効のちがいを予め知ることはできません。「日経サイエンス」5月号の記事

(「がんを狙い打つナノ医療」J.R.ヒース、M.E.デービス、L.フッド)によると、各臓器の細胞は50種以

上の器官特有のたんぱく質を作っていて、そのたんぱく質やそれをコードするmRNAを25種ほど調べれ

ば、個人の病気の特徴を確定できる。著者たちは、それぞれの臓器で検出された分子のどの組み合わせ

が、生体システムのどのような乱れを意味するかを判断するコンピュータ・プログラムの開発を進めてい

る、のだそうです。

 解析プログラムが整備されれば、血液や細胞から分子を検出するナノ・デヴァイスの安価な製造が重要

になります。検査コストが高額だと、ごく少数の人にしか恩恵が及びません。今月12日のNHK教育テ

レビ「サイエンス・ゼロ」で、いま日本で開発されているナノ粒子を安価に製造する技術が紹介されてい

ました。火山灰の一種であるシラスを原料にする、SPR(シラス多孔質ガラス)が実用化されたというので

す。これはナノサイズを含む任意の大きさの均質な孔をもたせることができる素材です。この孔を通すこ

とで、半導体の小型化に必要な微細ハンダボールが作られるようになったそうです。

 さらに、微細な気体バブルを作ることができ、それにガン細胞を検出する抗体を付ければ、毛細血管壁

の隙間を通り抜けて腫瘍細胞に付着させられる、というのです。バブルに蛍光物質を入れて体外から

造影撮影すれば、内視鏡やCTなどでわからない小さながんもわかります。あるいは抗がん剤を入れて、

付着したバブルを超音波で破裂させれば、健康な細胞を傷つけることなく標的だけを攻撃できるので、つ

らい副作用が回避されます。SPRの使い道はこれから広範囲に広がりそうです。きっと、生体分子検出用

のナノ・デヴァイスにも応用されるでしょう。

 遺伝子診断だけでなく、個人の生体分子検査によっても、テーラーメイド治療が可能になる日が近づい

ているようです。