明けていく空

 そらさん、酷暑のなかで野菜の世話をするのはたいへんでしょうね。そちらよりは涼しいのに、わたしは早朝し
 
か庭に下りません。ブヨだか薮蚊だか、シャツの上から刺す虫が活発な時間帯なのが悩みの種です。でも屋内
 
には、蚊取りを使うまでもなく、一匹もいないのが、なんだかふしぎな気がします。
 
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 夜明けにこの程度の雲だと、陽が高くなるころにはたいてい晴れ上がって、いい天気になります。こちらに来て
 
から、雲のない空に昇る太陽を見た記憶がありません。東方のオホーツク海に近いことと関係あるのでしょうか。
 
厳寒期に薄い霞が流れるだけの夜明け空を見たような気もしますが、あいまいな記憶です。
 
 
 夜半に目覚めてふと考えました。今のわたしは10年前のわたしと同じ人間だと言えるのだろうか、と。体細胞
 
はほとんど入れ替わっているはずです。脳神経細胞は生まれた後にはほとんど新生していないけれど、細胞を
 
構成する分子は代謝されて、10年前の分子は残っていないのでしょう。部品を総取替えした自動車を、形は同
 
じでも、同じ自動車とは言わないでしょう。
 
 それなのに意識としては、物心ついてから今まで唯一無比の自分であり続けていると信じています。身体や心
 
のありようがどんなに変わっても、この確信は揺らぎません。もし揺らげば、精神の疾患を疑われてしまいます。
 
「人が変わった」とか「別人のように」とかの表現はありますが、それはあくまで変容の大きさを比喩しているだけ
 
です。
 
 昆虫も変態後に別な個体になったとはみなされません。場所は同じでも建物も住民もぜんぶ入れ替わった都
 
市は、同じ都市なのでしょうか。同じだとすれば都市もまた生命体ということですね。死してはじめて終わる個体
 
の一貫性は、何に支えられているのでしょう。それともそもそも「同じ自分」というのは、人が共有する錯覚にすぎ
 
ないのでしょうか。