凍る摩周湖 2

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 写真はきのうの続きで、3日前の摩周湖です。


 〔新しい文明の姿を考える 〕

(2) ヒトの全体利害 

 報道統制されないメディアが発達している国では、いまの地球温暖化が危険で、CO2 排出量削減努力

がだいじだということが、ほぼ常識になってきているようです。しかし、ひとつのテーマに民心が集中し

すぎると、他のだいじなことに対する人々の視線をさえぎるのに利用される恐れがあります。例えば、コ

メやトウモロコシ、サトウキビ、大豆などの作物をバイオ燃料にまわして、農産物価格の引き上げを図る

人がいます。あるいは原子力発電を宣伝し、原発プラント売り込もうと目論む人がいます。石油消費削減

の世論が、穀物価格上昇や放射性廃棄物の危険性から人々の目を逸らす手段として、彼らに利用されてい

るのではないかと、わたしは疑っています。温暖化は、個人、一企業、一国の利害の視点からではなく、

ヒト全体の利害を踏まえて立ち向かうべきテーマです。

 グローバル化がそれほど進んでいなかった20世紀初めまでは、疫病も自然災害もせいぜい国単位で考

えられていました。核兵器ができるまでは、戦争も人類を滅亡させるとは思われていませんでした。地球

温暖化は、核戦争の脅威の次に、ヒトの全体利害を浮かび上がらせた問題です。しかし、グローバルな交

通・輸送と情報流通が、地理的あるいは政治的な辺境を除いて、あまねく行き渡ったいま、温暖化以外に

も全世界の協働が必要なたくさんの問題が、人々に意識されるようになりました。他の問題から切り離し

て、人為的な温暖化だけを単独に論じるのは危険です。IPCCや各国専門家のなかには、総合的な配慮

をしている人も少なくないと思います。でもマス・メディアはどうでしょうか。「わかりやすさ」を名目

に、単純化しすぎる傾向はないでしょうか。

 ヒト文明はどこから来てどこへ向かっているのか。広い視点で温暖化を位置づけるためには、その考察

が不可欠だと思います。大きなテーマですから、学問的力量が豊かな人に期待しています。でも今のとこ

ろわたしはそういう論考に出会っていません。仕方がないので、自分なりに考えます。綿密さに欠ける思

弁的な思い付きのレベルですけど。

 39億年ほどの地球生物史を顧みれば、赤道までの地球全球の凍結、大陸合体・分裂や小天体衝突によ

る天変地異があり、その他にも、繰り返し激しい環境変動が生物を襲い、種の大絶滅が何度も起きていま

す。それらの異変に比べれば、文明が始まって現在に至るまでの1万年ほどの間にヒトが経験した自然災

害は、コップの中の嵐のようなものです。いまのような温暖で安定した気候が1万年以上続くのは、例外

的なことだと言われています。こんなにヒトに都合のいい環境がいつまでも続くはずはないのです。そう

いうことがわかってきたのはごく最近のです。それまで人々は、温和な気候を所与のものとして、人々は

環境からの収奪と内部の争いにあけくれてきました。(続く)