おぼろな太陽

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 2月末日、雪がやんだばかりの土手際で、昇ったばかりの太陽が雲の裏側から光を投げて、おぼろな輝

きを演出していました。


 〔親は子を幸せになれるようには育てられない〕

 またまたスティーブン・ピンカーの『人間の本性を考える』(NHKブックス)からです。今回は下巻にあ

る19章の「子育て」について。

 子どもが社会的に成功して、自分の子育ては間違っていなかったと胸を張る親を、たまに見ることがあ

ります。子どもが悩んだり苦しんだりしていて、自分の育て方のせいだと責任を感じている親には、たく

さん出会いました。うまくいっている子が親に感謝するとか、不幸を感じている子が親を恨むとかも、た

びたび聞いたり見たりします。ピンカーに言わせれば、ふつうの環境にある親子については、どれも根拠

のない思い込みです。

 論証や説明抜きに結論だけを言えば、親は将来幸せになれるような子のパーソナリティーを設計し、植

えつけることはできない。人格や知能などの半分ほどは遺伝子で、残りは、子どもの仲間集団とそのなか

の本人の位置、そしてその子に降りかかるさまざまな偶然で決まる、と主張されています。この説を信じ

るとしたら、親は子のために何もできないのか、子のために心血を注いできたわたしの人生はどうなるの

かと、不安になりませんか。

 でもピンカーは、幸せになれるようには育てられないが、いま幸せであるように、そして将来の親子関

係が良好になるようには育てられると、強調しています。そして、幸せにではなく、不幸せになるように

育てる力はもっているとも、指摘しています。ネグレクトを含む虐待は確実に子を不幸にする、というと

言うのです。例えば子を殺すことはできるではないか、と。さらにわたしが付け加えれば、親は子の人格

や知能を向上させる直接の働きかけでは無力ですが、よりよい教育環境や子ども社会の建設・選択には、

役立つことができると思います。(このテーマは続く)