満足感の脳生理

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

 快楽や幸福感は満足感とどうちがうのでしょう。わたしは答えがわかりました。今日はその話。『脳が

「生きがいを」感じるとき』(グレゴリー・バーンズ著、野中香方子訳、NHK出版)という本がネタで

す。

 冷えた体に温泉は気持ちいいし、宝くじで百万円当たればハッピーになれるけど、これは満足感じゃな

い。苦労して高い山の頂上に立ち、そこからはじめて見る景色は言いようのない満足を感じさせます。で

もたいていの人が、同じ条件でもう一度登ろうとはしません。ちがうルートで、ちがう季節に、あるいは

ちがう山に出かけます。新しい目標を立てて行動し、その目標が満たされたときに満足感が味わえるっ

て、登山者は意識してなくても知ってるんです。

 満足感には新しい目標と行動と達成が必要です。ヒトの脳幹にはドーパミン駆動系の線条体という核が

あって、新しい行動目標の達成でここが活性化して、満足感になるんですって。バーンズは脳生理学的に

このことを確かめて、人間活動のいろんな場面を自分で体験しながら検証しています。

 例えば、長く一緒にくらした夫婦がマンネリになるのは、だんだん馴れ合ってお互いの間の境界線があ

いまいになり、新しさがなくなるからだって、彼は考えたんです。そこでご自分の妻との間で、相手に知

られないようにしていた体験とか性癖とか、包み隠さず話し合ったそうです。それまでマンネリでセック

スレスになっていたのに、そのとき初めての目くるめくような満足感のあるセックスが体験できた、と彼

は書いています。

 確かに、失敗の危険はあっても、はらはらどきどきするような行動に踏み切らなくちゃ、大きな満足感

は味わえませんよね。ヒトの脳はそういうふうにできているんだって、もっと早く知っていたら、わたし

ももう少しうまくやれたかも。息子にこの本を薦めようかな。

 たまには写真の石(緑ヶ丘公園の石庭)みたいにどっしりしてるのもいいけど、生きてる限り新しいもの

をめざしてどきどきはらはらもしたいよね。