ちょっと変な小説

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 ちょっと変な小説を読みました。変って言ったら失礼かな、悪い意味じゃなくて、「いままで味わった

ことがないテースト」ってことです。そー、女の人がおしゃべりしてるのを盗み聞きしてるような、そん

な感じです。新入女子社員のしゃべりみたいなのの方は読み終わりました(『いらっしゃいませ』 夏石

鈴子 朝日新聞社)。いまは兼業主婦のおしゃべり(『夏の力道山筑摩書房)の方を読んでます。

 取り立てて事件らしい事件のない日常を淡々と語っているだけなんだけど、へー、賢い女の人はこんな

ふうに感じるんだー、みたいなところがおもしろくて。女の人が書いた小説にももちろんいっぱい女の人

が出てくるけど、男にもわかるように書いてるって気がする。夏石さんはそういう構えがまったくないみ

たい。だれかに聞かせるんならもっと別な言い方があるけど、わたしがわたしに話しかけてんだから、な

んにも作らないよ、みたいな。

 女の人が身の回りのことに感じる素のままの気持ちを、特に思い入れをしたり嫌がったりせず(作者が

だよ、登場人物がじゃなくて)に、そのまま投げ出しているように、思わされる。本当はきちんと計算し

て書いているのかもしれないけど。男のわたしが知らない女の人の心のなかを見せてもらってる、そんな

気になってしまう。たぶん、女の人が読んだらぜんぜんちがう感想になるんだろうね。

 
 写真は北見緑ヶ丘公園から見た市街です。