毒の花
タムラ、言われてみればコクワの味はキーウイに似ています。初めてなのになんだかなじみがあるような気が
したけれど、キーウイは思いつきませんでした。こっちに来てから一度も買ったことがなかったからかな。
毎年たくさん目にするのに、今年はほとんどトリカブトの花を見ませんでした。オオウバユリの花もそうだけれ
ど、暑い日がわりあい遅くまで続いたため、まだ時季ではないと思い込んで、意識したときには盛りを過ぎていた
みたい。遅かったけれど、ようやく散り残った花を見つけて撮りました。
兜というか烏帽子というか、とにかく形がおもしろくて。たくさん群がり咲いているとけっこうきれいです。この植
物の毒はとても強いみたい。アイヌの口承文学に、若者が一人でくまを狩りに行くはなしがあります。山奥でトリ
カブトの毒を塗った矢で仕留め、次の日仲間を集めて里に運びます。
狩猟採集段階というと、野蛮と停滞というイメージですが、5万年前ごろからは着々と進歩を重ねていたようで
す。狩猟具についても、大勢で大型動物を殴るだけの石器からから、石のナイフや斧、細石刃を埋め込んでア
スファルトで固定した槍、弓矢、毒の使用へと進んできました。動植物についての実用的な知識は、現代の動物
学者と植物学者が束になってかかってもかなわないほど、蓄積されていたと思われます。縄文文化はその頂点
に位置していたのでしょうね。
アイヌの若者が使った矢尻は鉄だったでしょう。本州からの文化的圧力の一つが、金属の利用だったにちがい
ありません。石器だけでも中南米の古代帝国のように巨大建造物をもつ文化は築けます。しかし、鉄の文化と競
合したら絶対不利です。アイヌも鉄や米、飾り物などと交換するために毛皮などを蓄えるようになって、階層化が
進み、戦争が起きるようになったのかな。