霧の屈斜路湖 ぴんぴんころりのために(承前)

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 高台では湖面が雲に閉ざされていた屈斜路湖。湖畔に立つと霧にかすんでいます。温水を掘った跡にできた
 
水際の砂山で、白セキレイが遊んでいました。
 
 
                      <ぴんぴんころりのために(承前)>
 
 葉酸(ビタミンの一つ)にはテロメア短縮を遅らせる効果があります。多く含まれる食品は緑葉野菜、
 
酵母、レバーなどです。脳内と肝臓には生体時計があって、身体リズムを司っています。その働きで、
 
朝食で摂取されたカロリーは心身の活動を高めるため消費されるのに、夜9時以降のものは脂肪に
 
変わります。抗高脂血症成分を多く含む大豆製品やトマトなどは夕食に摂るのがいいということです。
 
骨カルシウムは朝溶けて夕方沈着しますから、カルシウムの多い食品も夕食がお勧め。
 
 肥満や糖尿病は臓器の細胞死を招き、その補充のために細胞分裂がさかんになって、テロメアDN
 
Aが消耗されます。ここ10年ほど、肥満や糖尿病による老化を防ぐ物質として、サーチュイン類(SIR
 
2ファリミー)が注目を集めています。赤ワインには、糖尿病を防ぎ、カロリー制限効果があるとされるS
 
IRT1を活性化する成分が含まれています。香川さんは赤ワイン成分の1000倍の効果がある新薬・
 
SRT1720を長寿物質と書いています。
 
 しかし同じ雑誌で今井眞一郎は、全身でSIRT1の働きを強めると、正の効果と負の効果が打ち消し
 
あって、老化遅延や寿命延長は起きないと予想しています。そして、カロリー制限には、ウイルス感染
 
に対する抵抗力を下げるほか、まだあまりよく知られていない負の側面もあると警告しています。今井
 
さんのレポートには、SIRT1活性を正しく制御できれば、老化遅延や寿命延長に大きな効果が発揮さ
 
れる可能性はあるけれど、実用化は基礎研究が蓄積されてから、というニュアンスがあります。
 
 巷にはさまざまなサプリメントや特定の「自然」食品の効用を謳う宣伝や口コミが溢れています。わ
 
たしはそれらに眉につばをつけて対します。動物実験などで効果があったとしても、適量が見定めら
 
れているのか、過剰摂取による負の効果がないことを確かめる長期実験や疫学的調査はなされたの
 
かなど、疑いをぬぐえないからです。またすでに書いたように、たいていの有効成分がふつうの食品に
 
含まれています。けっきょく多種多様な食品をバランスよくという、平凡な結論になりそうです。しかし
 
知識は、「多種多様」の中身を決めたり、食品を朝食と夕食に配分したりする上で、ムダにはならない
 
と思います。