赤い海

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 夜明けの低い太陽がオホーツク海の南の片隅を赤く染めています。地図でみるとこの海は、南を稚内

根室に至る北海道北東沿岸と北方四島で、東をクリル諸島(千島列島)とカムチャツカ半島で、西をサ

ハリン(樺太)で、北と北西部をシベリア以東のロシア極東部で囲まれています。巨大な塩水湖とみなす

こともできそうな。

 いま『オホーツクの古代史』(菊池俊彦 平凡社新書)を読みはじめています。この本によると、古来主

として海洋資源に頼る人々が、これらの地域でくらしていました。環オホーツク文明と呼んでいいよう

な、共通性のある生活圏が推定されます。カムチャツカ半島の北東はイヌイットが居住するベーリング海

域ですから、彼らもまたこの生活圏につながりがあるのでしょう。

 北海道北東海岸部からサハリン、クリル諸島に居住していたアイヌ民族は、これら海洋民の末裔なので

しょうか。本州東北地方から道南や北海道内陸部に住んだアイヌの生活は、オホーツク海洋民とはちがっ

う部分がありそうです。日本、中国、ロシアのどの国にもほとんど文献記録が残っていないようです。中

央から遠い周辺の考古学的研究は、中央国家の起源ほどには注目されませんので、まだまだわからないこ

とだらけみたい。

 能取岬に立って海を眺めながら、特にどこまでも氷原が続いているときなど、この豊かな海の周りで緩

やかにつながりながら興亡したいろんな民族に想像をめぐらせることがあります。