阿寒の森の奥で

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 湖畔の温泉街をそぞろ歩きしている観光客は気づかないかもしれませんが、阿寒湖はうっそうたる森に

囲まれた山の湖です。南側、スキー場の一画にある展望台からは、湖、ホテルの白い建物、ペンケ・パン

ケの二湖を隠す北方の森、今日の写真では右に切れている雄阿寒岳などが、一望できます。背中の斜面

は、標高1500メートル弱の雌阿寒岳と阿寒富士に続いています。どんどん西に進めば十勝地方の深い

森。阿寒川に沿って南に下れば、阿寒町を経て釧路平野に出ることができます。

 10月12日、展望台を降りて、雌阿寒岳登山口につながる林道の奥深くまで車を乗り入れました。たまに

現れる色浅い紅葉を楽しみながらまだ緑濃い森を走っているとき、とつぜん目の前を黒い影がよぎって車

は急停車。りっぱな角をもった大きな鹿が、左手の急斜面でもがいています。足を滑らせながらも、カメ

ラを構える前に登りきって、木々の間に消えました。メスと仔は群を作り、雄鹿は単独行動をするとか。

 熊笹と木々の間を縫って流れる清流がなぜかとても懐かしいような。思い出すことはできませんが、子

どものころ似た感じの場所で遊んだのでしょうか。あるいは中学生のころに読んだ北欧の小説の一場面

が、イメージになって脳裏に残っているのでしょうか。本州ではあちこちの山を歩きました。山すその森

は蔦や潅木が茂って暗い印象でした。奥深いのにこんなに開放的な雰囲気は、出会った記憶がありませ

ん。