ノロッコ号
号というのもあります。湿原号は釧路ー川湯間、流氷号は知床斜里ー網走間を走り、要所で徐行したり停
車したりします。わたしは釧路からの普通列車を知床斜里で流氷ノロッコ号に乗り換えました。ホームに
はすでにノロッコ号が入っているのに、誰も乗っておらず、駅員が何やらあわただしい雰囲気です。乗車
していいのか尋ねたら、電気系統が故障なので遅れるから待合室で待てという返事でした。結局乗務員を
増やして、定刻に発車しました。トンネルのなかで完全な暗闇になり、一斉アナウンスができず車両ごと
に乗務員やガイドが肉声でしゃべり、ドアの開閉が係員のいるところに限って手で行われました。乗務員
はたいへんだったと思いますが、乗客にはたいした不便はありません。
事前に美幌駅に問い合わせたら予約が必要だと指定券を買わされました。実際は2両が指定で3両が自
由席でした。乗客は全部で50人に満たないようでたっぷり余裕があります。自由車両から指定車両に移
ってきた人も、席番号に頓着せず好きなところに座っています。わたしの券は海を見る窓に対した席でし
たので自分のところに座りましたが、車掌は検札する様子もありません。各車両にはストーブが燃えてい
て、そこであぶって食べるスルメや干魚が車内で売られていました。4枚目の写真の人はスルメを裂いて
いるところです。そういえば知床斜里駅のホームでは魚が干されていました。撮っておけばよかった。
釧網線の川湯駅近くだったでしょうか、控えめな一本の看板が目に付きました。SLは湿原の動物にも
迷惑、という意味のことが書かれています。考えたことはありませんでしたが、あの煤煙は沿線の民家に
歓迎されないでしょうね。熱烈なSLファンの人には怒られるかもしれませんが、わたしはSLをやめて
もたいして惜しいとは思いません。高校生のとき使った飯山線も上京のたびに乗った上越線も蒸気機関車
に引かれていました。開いた窓のままトンネルに入ったりすることもあり、車内に充満する煤と匂いにい
い感情はありません。ノスタルジーを別にすれば、電気やディーゼルの方が乗客にも沿線の人や動物にも
いいのでは?ちなみに流氷ノロッコ号はディーゼルです。