オジロ獲物をゲット セルラーゼ

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 「モノもの」運営局さん、ゲストブックのコメントありがとうございます。

 
 阿寒国際ツルセンター午後2時過ぎ、タンチョウの餌として撒かれる魚を狙って集まってきたオジロた

ちが、何羽も低空を旋回しています。突然急降下。氷原を再上昇する鳥の爪には獲物がしっかり捉えられ

ています。


 「日経サイエンス」09年3月号で、わたしはセルラーゼという酵素の名前を初めて目にしました。塩

谷喜雄の「科学世評」と、シロアリ研究者の守屋繁春が茂木健一郎と語りあう対談の二つです。塩谷によ

ると、日本がさかんに研究している非食糧系原料バイオマス燃料を作るのに、多糖であるセルロースを分

解する最初にセルラーゼ使用が欠かせない。どの国もこの酵素を米国のある一企業の供給に頼っている、

のだそうです。

 守屋さんは次のような意味の発言をしています:シロアリはセルラーゼを作る原生動物を共生させた

り、自分でこの酵素をつくったりしている。彼らは枯れ木枯れ草のセルロースを74から99%分解して

しまう。カビはセルロースの固い部分は分解できない。セルロース分解酵素は80種類以上あるが、シロ

アリ体内ではそのなかでも特に優れた少数が作られている。この酵素をつくる遺伝子を麹菌に導入すれ

ば、米の代わりにおがくずでアルコールを作り、燃料にも人の飲み物にもできる。その他に、石油を作っ

たり、重金属を蓄積したりする生物もいる。海中から資源を得たり、生活排水を浄化すると同時にそこか

ら油を作ったり、太陽光から直接倍をプラスチックを作る技術などに、生物を利用できるようになるかも

しれない、というものです。

 セルラーゼを工業的につくるのはとてもコストがかかるようです。アメリカ企業はその分野で特許を持

っているのでしょう。原生動物の遺伝子を利用して、セルラーゼが安く生産されるようになったら、バイ

オ燃料による化石燃料代替が急速に進むでしょうね。シロアリ研究という、何の経済効果もないような基

礎研究から、思いがけない技術の可能性が見えてくる。それが科学のおもしろいところです。新自由主義

者たちが主導した教育・研究体制の変革が、基礎研究の基盤を狭め、日本の将来に影を落とすことがない

といいのですが。