ハナワラビ、そして青い実

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 栄養葉がワラビに、胞子葉に付く胞子嚢が花に似ているハナワラビ。7年かけて実を付け、ひとつの実

から何百もの種を飛ばして枯れる大姥百合の青い実。どちらも網走駒場の森で見かけた初秋の姿です。森

林ウォーク閉会式が行われた入り口広場には、熟しきらない実がたわわについた洋ナシの木がありまし

た。禁止の立て札がないので、自由に持ち帰っていいのでしょうか。


 比較ゲノム研究から現生人類分布の道筋をたどる記事の結論部分に、G.スティックスはキンタナ=ムル

シからの次の引用を置いています(「日経サイエンス」08、8月号 32-41頁)。「人種などは存在

しない。遺伝学の立場からわかることは、地理的な勾配のようなものだ。ヨーロッパ人とアジア人の間に

明確な違いはない。アイルランドから日本まで、ここから何かが完全に変わるというはっきりした境界は

どこにもない。」

 単純に、世界人類みなひとつ、と言っているわけではありません。ちがいはあるけれど人種として区切

ることが無意味な、連続的なものだということです。記事に挿入された篠田謙一の説明によると、染色体

DNAから見た日本人の起源は、北東アジアを中心に東アジアの広い地域からの5系統に分けられるそうで

す。かつて流布されていた原生縄文人と渡来弥生人の二重起源説のように単純なものではないようです。

彼は中国の漢民族についても、DNA多様性が地理的に分化していてまとまった集団とは言えない、として

います。

 現存するヒトはすべて、アウストラロピテクス類や他のホモ類など絶滅人類とも区別される、固有のDN

A構造を共有しています。「ヒト」を現生人類の意味で使うときには、この共通DNAが「ヒトの本性」の物

理的根拠です。今では主流になっている出アフリカ説で考えれば、アフリカを出て地球全域に拡大定住し

ていった20万年の間に、地域や歴史的偶然にもとづいた遺伝子と文化の多様性が生まれました。多様性

は人種的なものではなく、連続的な「勾配」です。共通な「本性」と連続的に分散する多様性。両方がグ

ローバル化時代の新しい文化の基盤として尊重されなければならないのでしょう。