濃く淡く岬の朝は茜色
出水の秀ちゃんさん、南国鹿児島の田園風景はどことなくこのあたりとちがうような。鶴もそちらハマナヅル、
ナベヅルで、こちらはタンチョウヅル。ただ、南北に長い国の辺境という点は共通かもしれませんね。
東の空が厚い雲に覆われていなければ、日の出前後の1時間、空に華麗な色彩ショーが展開されています。
特に太陽が姿を現す前に東南の雲が見せる茜色は、息を呑むほど華やかです。ただわずかな時間で変化する
ので、この日もそして昨日も、ピークの瞬間を撮りそこないました。
ロシアでは猛暑による火災、中国では豪雨による土石流災害。先日北見でも観測史上最高の36度台を記録し
ましたが、はるか北方に位置するモスクワで38度を超えたとか。北朝鮮でも気象災害が起きていると伝えられ
ています。気候の変動幅が現代人の経験値を超えて拡大しているような。ロシアの泥炭地が自然発火して、上
るそうです。
狩猟採集の自然経済は多種多様な食糧に支えられていたから、気候変動があれば得る食糧の種類を変えた
り移動したりすることで、人類は厳寒期も高温期も乗り越て、600万年あまり種の命をつないできました。しかし
食糧生産を始めて文明を高度化してからの1万年余は、この間の安定した気候に適した、効率のいい特定の穀
物の栽培と家畜の飼育に依存するようになっています。そのため、わずかな災害で大打撃を受けます。今まで
は、それで絶滅する社会があっても、条件のちがう地域で生き延びた人々がその間げきを埋めて、文明は前進
を続けました。
ところがいまやグローバル経済の時代です。人々の意識は追いついていませんが、客観的には地球上のヒト
と家畜の生産が滞ったとき、その影響は世界の隅々にまで波及します。66億人にまで膨張した人類がいまさら
狩猟採集に戻ることはできません。
災害に強い、頑健な文明の方向に舵を切るしかないのだから、何がムダで何のための効率化なのかを根底か
ら再検討しなければならないと思います。その際、アメリカ流の、共同組織の干渉を嫌う自由競争礼賛の気風
が、人類滅亡を招きかねない危険な障害物になるような気がします。