鴨とユリカモメ

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 砂湯の水辺で、白鳥の周りにマガモとユリカモメが浮かんでいました。ユリカモメの名前は耳にしてい

ましたが、実物をしげしげと眺めたのは初めて。鳥類図鑑の説明で、カモメは海だけの鳥という先入観が

正されました。

 この鳥は白粉と口紅で厚化粧した女の人を思わせます。それに比べ真鴨は、オスは白い首輪と緑の頭が

少し派手だけれど、メスはけばけばしさのない上品な装いです。わたしは厚化粧に違和感を覚えます。ミ

ヤマカケスなどは色彩は派手でも自然な感じ。きっと白粉・口紅の連想が抵抗感のもとですね。亡き妻が

一度も化粧しなかったからかな。

 もっとも野鳥は、人に見られることで進化したわけではないのだから、わたしの勝手な感想に「我関せ

ず」ですよね。性淘汰は進化に影響します。オスにはメスの、メスはオスの好みにかなう特徴が強調され

てきました。「自然な感じ」というのは、人の人為的な干渉を思わせないということでしょう。

 「人工的なものより自然なものの方がいい」という時代の風潮に、きっとわたしもとらわれているので

す。ある価値観の内部にはまり込んでしまうと、それが普遍的な真理だと錯覚しやすい。50年ほど前に

は、自然は粗野で技術が洗練をもたらす、という期待のほうが優勢でした。粉末ジュースが大はやりした

のは、安かったからだけではないと思います。いまなら、何かやばい添加物がと、警戒感が先に来るでし

ょう。当時は「人工」や「進歩」をもっと信頼していました。

 人は環境の微妙なバランスに適応して文明をここまで進めてきました。いまこのバランスが崩れはじめ

ていると感じられています。地球物理に由来するものであれ人為の結果であれ、人がくらしやすい環境の

崩壊を座視することはできません。文明の再編には、「自然」と「人工」の一方だけ強調するのではな

く、両者の調和の取れた価値観を作り上げる課題も含まれていると、最近わたしは考えています。