神社の桜 エネルギー転換 2
まです。美幌町内だけでも場所によって、樹によって、散っていたり満開だったり7分咲きだったり。写
真は14日の美幌神社のもの。
〔エネルギー転換 2〕(昨日の続き)
わたしのように非才・非力な素人は、むろんマスタープランの提出はできない。だが、素人でもきちん
と観察していれば、ある政策が長期的・総合的な見通しにもとづくものか、特定集団の目先の利益から考
え出されたものかは、判断できる。例えば、ブッシュ政権が推進するトーモロコシ・エタノールによるガ
ソリン代替は、両立の道から逸れる危険な政策だ。
トウモロコシ栽培に投下される機械・化学肥料などまで計算すれば、得られるエネルギーより、エタノ
ール製造に消費される化石燃料のエネルギーの方が大きい、またはマイナスでなくても利得はごくわずか
だと、客観的立場にあるおおかたの専門家は評価している。それなのに、大豆からエタノール用トウモロ
コシへの転換が進み、家畜飼料・油脂などの価格に世界的な影響が出はじめている。飢餓に直面している
人々に回る食糧はますます乏しくなる。ブッシュ政権は、彼らの支持基盤である農業企業を救済するた
め、大規模な補助金を支出する大義名分として、温暖化対策ということばを使っている。実質的に温暖化
緩和効果のない政策に資金を投下して有効な対策の資金を奪い、さらに国際社会を不安定にする。
ブラジルなどが推進するサトウキビ・エタノールについては、エネルギー収支の計算以外に、途上国経
済を向上させる効果、森林保存への影響など、さまざまな要素を考慮しなければならない。日本では、政
府からの支援は乏しいなかで、農作物残滓や木質から微生物を利用してメタノールを取ったり、家畜の糞
尿や生ゴミを発酵させてガスを作ったり、あるいはおがくずペレットをストーブ燃料に使ったりするよう
な、バイオ燃料開発が進んでいる。農業や林業の採算性を向上させる上で有効とは思うが、量的にどれだ
け石油を代替できるか、わたしにはわからない。
補助金や研究開発費をどこにどれだけ投下すべかは、グローバルな科学的現状認識を前提にしながら、
各国の自然・経済条件を考慮したマスタープランのなかで決められるべきこと。特定の支持勢力に配慮す
る政権の政治的思惑で左右されてはならない。素人でも投票者として、長期的で広い視野からのマスター
プランの作成・公表は要求できる。それにより、国際機関、中央政府、地方政府、経済界、農家、各家庭
のそれぞれが担うべき役割が明確になる。エネルギー転換と経済発展を両立させる狭い道を踏み外さない
ためには、衆知を集め、透明な議論を通じて、国民的、国際的合意を形成すべきだ。そういう合意ができ
れば、日本経団連の排出権取引制度反対のような、先を見ない利己的な主張は無力になる。
40年後に対策の効果が現れているかどうか、ここ数年の政策選択が決定的な意味をもつと思われる。
ヒトの将来がかかる緊急時だ。回顧的な趣味による改憲などに血道を上げているときではない。国民に奉
仕する公党は、世界から各界専門家を招いてエネルギー転換のマスタープランを作成する、審議会の設置
を公約に掲げるべきだ。