オジロとカラス

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 ゆみこさん、きのうの雪は軽くて10センチほどしか積もっていなかったので、雪かきは楽勝でした。

今日もまた少し降ったみたい。除雪車が出て敷地と道路の間に壁ができたり、暖かくなって雪が湿ったり

すると、作業がきつくなります。まだいまはちょっとした運動になる程度ですから、だいじょうぶです。


 〔生態系サービス 最終回〕

 非可食バイオマスの燃料化は、まだ実用的な技術が十分確立しておらず、実験的に作られた製品はたい

てい、作物を原料とするものよりコストが高くつきます。しかし、技術の進み方や量産効果によるコスト

の改善は、政策や資金・人的資源の集中投下で促進できます。北海道下川町と森林総合研究所北海道支所

は、成長の早いヤナギを原料としてバイオ燃料を生産する研究をはじめました。岩手県葛巻町風力発電

を誘致し、公共施設に太陽光発電機を設置した他に、酪農の糞尿を発電・熱利用・肥料化に使うプラント

を実用化し、間伐材をガス化して発電と熱利用に使う実証試験を行っています。家畜糞尿をガス化して燃

料や発電に使う取り組みは北海道足寄町にもあります。北海道恵庭市近畿大の研究所は、飲料工場など

から出る茶かすや果実の皮を加工したバイオコークスを、09年度から量産・実用化する計画です。国や

道は、こういう研究開発にこそもつとずっと大きな資金を投じるべきだと思います。そして人材育成も急

がなければ。世界の温暖化緩和に役立ち、日本の経済競争力を向上させる可能性があるのですから。

 公共機関だけでなく、先見性のある企業もバイオ燃料に着目しています。ホンダを中心とするいくつか

の企業は、政府出資も加えて財団法人を設立し、遺伝子操作で得た菌でセルロースからエタノールを作る

技術を開発しました。ホンダは単なる自動車メーカーから、エネルギー企業への変身も視野に入れている

のかもしれません。バイオの他にも、金属化合物を素材とする薄膜太陽電池を自社開発し、すでに全国販

売をはじめています。従来のシリコン素材によるものに比べ、製造時に消費されるエネルギーは半分 (し

たがってCO2排出削減) で、コスト面でも有利だとか。さらに、都市ガスを原料に、家庭で水素を製造

し、燃料電池で家庭用電力を得るとともに、燃料電池車の燃料にもする実証実験を開始しています(「日

系サイエンス」08年1月号)。アメリカではグーグルが、太陽光、風力、地熱による発電技術の開発

に、数百億円規模の投資をすると07年に発表しました。政府はこのような研究開発を税制面などで優遇

し、できるだけ多くの資金や企業を誘導すべきです。

 最も開発してほしい技術は、バイオマスから水素を取り出して燃料電池に使い、残った炭素を固体化す

る方法です。実用化されれば、生産し消費するバイオマスが増えれば増えるほど、大気のCO2を減少さ

せることができます。水素は輸送と貯蔵の低コスト化が課題です。気体の濃縮には高圧が、液化には超低

温が、吸着には軽量で効率のいい素材が必要です。技術が進み、コストも改善されてはいますが、輸送・

貯蔵も水素の取り出しも、技術とシステムの整備にまだまだ時間がかかりそうです。まずはバイオマス

原料とするエタノールやガスを実用化し、同時に燃料電池の研究もさらに精力的に推進すべきです。

 人の手が入らない原生林も、水の浄化や気体炭素の固定という役割を果たしています。しかしそこで

は、若木が固定する炭素と同じ量の炭素が、朽木や枯葉・枯草の腐敗で気体に戻っています。エントロピ

ーが小さいエネルギーの貯蔵庫である貴重な有機物が、ヒトに利用されないまま無機物に還るのです。絶

滅危惧種を保護するため、一定面積の原生林は保存されなければなりません。ですが同時に、未利用の荒

地にそのサービスを有効に利用できる生態系を育てる努力も必要です。例えばヤナギは、同じ時間でカラ

マツの3倍の気体炭素を固定するので、生態系サービスの利用価値を高めます。

 温暖化、世界の経済格差、国民経済、地元住民のくらし、観光・リクリエーションなど、他の問題から

切り離して自然保護だけを論じるエコロジストは、独善的な反文明思想に染まり、孤立する可能性があり

ます。生態系サービスを持続可能な形で維持・活用するということであれば、さまざまな分野の人と対話

の道が開けます。専門的な訓練を受けて広く長期的な視野で生態系を考える人材が大量に必要です。彼ら

が、公的部門、民間経済指導者、地域住民などの話し合いに加わり、その合意によって目先の利益だけを

求める資本の動きを制約するようにならなくては。(このテーマ終り)