オジロワシ

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 オジロワシは、尾が真っ白で嘴が黄色い成鳥になるまでに、4,5年かかるようです。翼を広げると2

mだそうですから、わたしの身長より大きいことになります。目の前で眺めたことはないので、ちょっと

実感できませんが。絶滅危惧種の天然記念物です。道東には住み着いている個体もいると聞いています

が、この辺では冬しか見られません。流氷に乗って渡ってくるのでしょうか。


〔生態系サービス 3 承前 〕

 去年6月知床フレベの滝周辺を歩いたとき、暑かったので歩道をそれて木陰に入ったら、監視員の人か

ら道を外れるなと注意されました。また、見渡す限りのわらび原だったので同行者が数本摘んで手にして

いたのを、国立公園内だから採ってはいけないと言われました。広大な草原に日差しを遮る人工物は滝を

見る所しかなく、歩道には腰を下ろす場所もありません。「保護」の視点はあっても、景観や澄明な空気

を楽しむ人への配慮は感じられません。貴重な種が絶滅に瀕している場所で、人の立ち入りを禁じなけれ

ばならない場合はあります。その旨が説明されていれば納得できます。尾瀬ヶ原で、植生の回復のため至

仏山一帯やあやめ平に立ち入りを禁じるのも、高層湿原の乾燥を防ぐため木道以外は歩かせないのも、理

解できます。さらに入域の人数制限や有料化が必要かもしれません。

 しかし北海道の原野で、ただ自然公園だからという理由だけで、囲われた道を歩くだけ、一草一本にも

手を触れるなと言われたら、意味もわからず管理されている気分で、自然との一体感は望めません。「世

界遺産」の名に誘われて話の種にと一度だけ来る人はともかく、地元の人が繰り返し気楽に「生態系サー

ビス」を享受することにはならないでしょう。土産物屋、宿泊施設、ガイドなど、遠来の客が落とすお金

に期待する観光産業関係者は、それでもいいのかもしれません。エコ関係のボランティアや役人も関係者

の一部かな。

 観光業と無縁な一般住民は、国立公園だから山菜採りはだめ、木陰でおにぎりを食べるのもダメ、エゾ

シカが畑を荒らしても傷つけるなと、言われるだけでは、自然保護を自分のこととは感じられないでしょ

う。例えば、年毎に区画を指定して一定量までの山菜取りを認める。放置された荒野に大きな鹿牧場を作

って、人と動物が触れ合ったり鹿肉を安定供給したりする事業を興す。そんなことは無理でしょうか。再

生可能性を損なわずに永続的に利用するにはどんなルールが必要か、さらに生態系サービスをもっと高度

利用する方法はないのか。そういうことを専門家と住民が一緒に考えるようになったとき、自然保護が日

常化すると思います。

 わたしは近所の人から、美幌川にオジロが来ている、庭をキツネが通る、屈斜路湖林道にはキノコが豊

富だけれども熊が怖い、道路に飛び出した鹿に車を壊された、というような話を聞きます。だけどそうい

う動物がくらせる環境が貴重だとか、動物と共生するにはどんな工夫があるかとかに、話題が広がること

はありません。日常生活は自然保護と切り離されています。生態系サービスの考え方は、両者を結びつけ

る可能性があります。

 オジロ、オオワシ、アザラシなど、たくさんの動物が流氷とともに冬の道東にやってきます。近年その

流氷が減少しているそうです。朝日新聞道内版に「環境異変」という記事が5回連載されました。それに

よると、オホーツク海のロシア沿岸大陸棚で、零下40度の寒気によって海水が凍結する。氷にはほとん

ど塩分が含まれず、残った海水は塩分濃度が高まって重くなるため、沈み込む。このメカニズムがポンプ

のように働いて、北太平洋中層水の大循環が起きる。表層で溶かし込んだ酸素や、アムール川から運び込

まれ大陸棚に沈殿した栄養分、特に鉄分が、沈み込みで撹拌されて、中層水の流れによって北太平洋に広

がる。植物プランクトン、動物プランクトン、海藻、魚介類、海洋性動物や鳥類。連鎖する生態系を、大

量の海氷形成からはじまる海水循環が支えている。温暖化による流氷減少はこういう環境の異変に伴う現

象だと、指摘されています。(続く)