カヌー下り 4

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 釧路川に入ってから細岡の船着場が近づくまで、朽ちかけた廃屋ひとつを除き、人工物は見えない。二

度ほど鳴った熊よけの爆竹の他には、時折ポツリポツリ語るガイドの声と、同船した若い娘がケイタイで

撮るときの短いメロディーが人工音。小鳥が姿を見せることは少なく、さえずりは遠くに聞こえ、近いと

水面に吸い込まれるて消える。そういう瞬間に船底が水をこするかすかなきしみに気づく。

 湿原という言葉のイメージは、尾瀬のような草原だろうか。だがカヌーから見る釧路湿原には草むらが

少ない。特にこの日のようにヨシの茎が豊かな水に沈んでいると、目に付くのはヤチヤナギ、ミズナラ

ハンノキなどの樹木の緑、緑、緑。一ヶ月もするとヤチヤナギは黄色に装うが、赤の彩りは少ないとい

う。9キロの行程のうち、まだ4キロほどしか来ていない。だが、このたゆたいのときを長引かせたい。

そんなにまじめに漕がないで。