トンビと流氷

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

 3月中旬からはオオワシもオジロもほとんど見ていません。今年は暖かくなるのが早かったため、北に

帰ったのでしょうか。代わって我が物顔なのがトンビ。18日の能取岬でも一羽が、太いローソクのよう

な岩のてっぺんに止まり、長い間辺りを睥睨していました。周りの海には流氷が。


 今年も三大都市圏の地価は、上昇率は鈍ったものの依然として高くなっていると、今日の新聞に出てい

ました。ここ美幌をはじめ、地方のほとんどは下落が続いています。生活、教育、医療、福祉を高度化し

ようとすれば、コストを考えると、ある程度は居住地を密集させたほうがいいというのはわかります。し

かし、世界全体のエネルギーの75%が都市で消費され、温室効果ガスの80%は都市に排出責任がある

そうです(朝日新聞08・3・24「排出に責任」闘う都市)。都心の下水道の温度はこの30年間で冬季

には7度上昇しているとか(同・発熱する東京)。いまや都心では「熱帯化」が進んでいるのだそうです。

 都市化が行き過ぎれば人のくらしを悪化させます。タウン誌のさまざまな報道から判断すると、ここ網

走管内の新規高卒者の多くが、地元での就職を希望しているのに決まるのは本州の都市圏、ということの

ようです。若者は、親しんできた田舎ぐらしの魅力を知らないわけではないし、華やかな大都会にあこが

れるだけでもないようです。地元に希望の持てる職場があればいいのに。

 管内の求人はほとんど旅館や飲食店で、卒業生の希望する事務・経理はほとんどないとか。この一帯は

大都市が提供できない雄大な景観や多彩な動植物など、豊かな資源に恵まれています。北欧のサンタクロ

ース村が成功したように、ITや健康・娯楽・情報サービスと組み合わせて、新しい産業を興す展望があれ

ば、若者たちも希望をもって地元に就職するでしょう。従来の通過型観光に対応する旅館や飲食店の下働

きというだけでは、彼らをひきつけることはできません。

 都市と地方の共存を実現するには、都市でもゆとりのある働き方を可能にする、産業構造の転換が必要

です。そのためには、構造転換を推進するのに適した流動性のある労働市場が形成されなければならない

し、その下支えとなる教育、福祉、就業支援などの強力な社会政策が不可欠です。北欧諸国にはそれがあ

りました。日本の若者が郷里を捨てるのは、彼らに郷土愛が欠けているからではなく、大人に構想力が欠

けているからです。

 「小泉改革」に喝采したかと思えば、一転して競争より平等を支持するようになる。今年の意識調査で

は、終身雇用を支持する人が9割近いそうです(朝日新聞 08・3・25 終身雇用「支持」9割近

く)。「昔のほうがよかった」ではどうにもなりません。金持ちがより金持ちに・貧乏人がより貧乏にな

る改革ではなく、できるだけ犠牲者を出さない改革を構想しなければならないのに、他人事のように政治

家や役人を非難するだけの、後ろ向きの発想しか出てこない。受身の事なかれ主義を叩き込んできた教育

の成果ですかねー。