4月の稚魚  まだ希望が

 オリオンさん、川口ではもうポピーが咲いているのですね。ウチの庭のポピーはやっと葉が少し伸びはじめた
 
ばかり。チューリップも蕾さえ見えません。やったことはないけれど、コメントの重ねはできると、以前誰かが。
 
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 4月14日、公園の中のせせらぎに群れていた5,6センチほどの稚魚です。海に下るサクラマス、陸に残るヤマ
 
メ、どちらでしょうか。
 
 
                            〔希望〕
 
 宮城県のある女性(仮にAさんとします)が3・11の津波の日、「このままのまれようか」と思
 
ったそうです。彼女は腹部にストーマ(人工肛門)があって、前年チリ沖地震津波警報で避
 
難したときの経験に懲りていました。(朝日新聞「患者を生きる15541555」から) 手術で肛
 
門筋を失うと、排便やおならをコントロールできなくなるので、便を溜めておく体外装置(ストー
 
)を身につけなくてはなりません。わたしも大腸にガンが見つかったとき、一番心配したのは
 
生きられるかどうかよりそのことでした。幸い肛門は残りましたが、兄が同じ病気で着装しま
 
した。外見ではほとんどわからず、普通にくらせるそうです。しかし清潔に保ち、定期的に交
 
換しなければならず、トイレに籠る時間は長くなります。匂いや音を気にして外出を控えたり、
 
人に知られたくなくて隠したりする患者が多いとか。Aさんは前年の避難所で、隠したい気持
 
ちを抑えて予備装置のことを尋ねたときに、町職員の対応がこたえたようです。
 
 「普通でない人」が「普通の人」に迷惑をかけないようにと身を引いてくらす日常、それはスト
 
ーマ着装者だけでなく、知能や精神に障害がある人の家族や介護者、身なり礼儀を維持でき
 
ない貧窮者など、他にもたくさんあると思います。避難所のような非日常的な場所では、身を
 
引くことは生の放棄につながりかねません。Aさんの津波に呑まれようかという思いは、「普通
 
でない人」が目立たないようにと身を引いてくらすことで維持されていた普通で平穏な日常を、
 
一瞬照らし出したような気がしました。
 
 貞観地震の前後数十年がそうだったように、今世紀はどうやら災害の頻発を覚悟したほうが
 
よさそうです。相次ぐ災害に対処し、原発を廃止し、しかも温室効果ガス排出量を削減すると
 
いう課題は、生半可なことでは乗り切れないと思います。文明が始まってからの歴史を主導し
 
てきた、優勝劣敗思想を一掃するほどの精神革命が必要でしょう。と言ってもそれは、誰か偉
 
い人が提唱する大きな思想によってではなく、小さな日常で人と人の関係が変わることで実
 
現するような気がします。多数者(自分は普通だと思っている人)が、普通にくらせない少数者
 
に無関心でいられなくなる。多数者に属するからと自分とちがう少数者に居丈高になれば、周
 
りの人から戒められる。そういう風潮が広がって定着するだけで、政治や経済の価値基準が
 
変わってしまいます。
 
 城南信用金庫脱原発を宣言し、身の回りから行動を始めました。資本主義社会の常識で
 
はありえないことなのに。原発推進政策を踏襲する内閣の下にある政府機関の一つ(環境省)
 
が、控えめに見ても原発40基分の風力発電が可能という、試算を公表しました。40基と言え
 
ば、全54基のうち定期検査で停止している11基以外のほとんどすべてです。電源立地交付
 
金と雇用のために原発を受け入れざるを得ない地域経済、地方の親と自治体が養い送金し
 
て育てた若者と、地方金融機関が集めた金を吸い上げる都市の繁栄。以前のそういう日常の
 
再建は真の復興ではないという気づきが、少しずつ広がっているような。Aさんや自閉症者の
 
家族が周りの人と、気後れや哀れみなしに堂々と話し合って、両方が納得できる解決を探せ
 
る。過疎地の住民がヒトにとっての自然崩壊を食い止める現場の前線を担い、都市住民が自
 
然体験を楽しんでその対価を払う。そういう社会への希望をまだ捨てなくてもいいのかなと、こ
 
のごろ感じることがあります。