嫌われものの白樺だけど

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 こちらでは白樺のことをよく言う人に会ったことがありません。「何の役にも立たない」、「花粉症の犯人」とか。でもわたしは好きです。幹の白さもさることながら、いまの季節の葉のみずみずしさ。
 前に北海道とフィンランドに共通点が多いことは書きました。フィルムアート社の『フィンランドという生き方』によると、あちらでは白樺はもっとだいじにされているようです。キシリトールは白樺の樹液からとれる糖で、摂ってもカロリーにも虫歯の原因にもならないので、機能食品として使われます。フィンランドの小学校では、昼食後キシリトール入りのガムが配られるそうです。いまやキシリトールはこの国の産業の一つです。この糖を使ったお菓子には税が免除されると書かれていました。子どもたちの健康への配慮です。樹液はそのまま飲料にも使われます。樹皮で屋根を葺き、経木にしてかごを編み、皿や靴を作ります。若葉は食用にもなるようで、枝や幹は薪です。何よりこの国の人が大好きなサウナには葉のついて枝が欠かせません。火照った体を束ねた枝でたたきます。
 白樺もそうですが、森の恵みを楽しむ知恵にたけているのでしょう。野草やさまざまなベリーにきのこ、それに湖や川の魚などを、自分で採取する人の割合がとても多いようです。都会の人も市場に行ってベリーやきのこや魚を買います。わたしの勝手な想像ですが、アイヌの人も森の恵みをたくみに使ったのではないかと思います。農業を生業の中心にした和人は、森を保存して楽しむより開墾して農地を増やすことを優先しました。フィンランドは、情報大国、経済競争力世界一の先端国家でありながら、昔ながらの自然のなかの楽しみも忘れない。興味ある国ですね。

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