葦の氷

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 予備知識がなければ、水蒸気と水と氷が同じH2Oだとはとても信じられません。まあ、目に見えない水

蒸気は別として、水と氷は光によく輝くという点は共通ですけれど。波しぶきが届く高さにある葦の茎周

りで氷が成長して、朝の低い陽にきらきら光っていました。水とちがって形があり、その形が全部ちがう

ところが氷のおもしろさ。光り方も場所ごとに微妙にちがいます。


 冷戦時代、企業が栄えたとしても、国民の大多数を占める一般労働者の困窮が極まると、彼らが

産主義」に走るのでは、という危惧があった。だから資本主義を部分的に修正し、ある程度の社会

保障を整え、賃金の中間搾取(労働者派遣業など)を非合法化した。そして総中流化と言われた1980

年代、日本はジャパン・アズ・ナンバーワンとささやかれるほど、経済が躍進した。アメリカもニューデ

ール政策で中産階級が分厚くなった時代に、国富が大きく伸びている。ところがソ連がなくなり、ロシ

アも中国も市場経済を採用。金持ちたちがもう遠慮はいらないと思いはじめた。
 
 ケインズ経済論に代わって、ハイエクフリードマン流の市場原理主義が欧米を席巻し、グローバル

スタンダードと称する外圧になった。貿易・金融の自由化、公営事業の民営化、社会保障の縮小、規

制撤廃で、労働を含む市場を完全に自由化すれば、需給が調和してインフレはなくなり、効率が向上

し世界はうまく回るという主張だ。何のことはない、金のあるやつがさらに儲けるのを、世界のどこでも

一切邪魔するな、ということである。日本でも金持ちが望むままに、これ幸いと「外圧」に乗ったのが中

曽根から小泉までの自民党政府。公有事業を次々民営化して国民の財産を金融資本と投資家が食

い荒らすに任せ、労働者の保護を引き剥がして資本に差し出した。企業を儲けさせるのが政府の仕

事とばかりに。その結果、一部の大金持ちだけがさらに金持ちになり、購買意欲の旺盛な中間層が

やせ細って、経済はほとんど伸びなくなった。

 ノーベル賞委員会は1976年にミルトン・フリードマンに経済賞を与えた。だが各国内で所得格差が

拡大。その上、世界的な金融不安が頻発。絶望と憎悪が増殖し、世界が不安定になった。ノーベル

賞委員会は2008年に、今度はポール・クルーグマンに経済賞を与えた。クルーグマンネオコンとそ

の理論的支柱のフリードマン一派を激しく批判し、新ニューデール政策を説いている経済学者だ。ノー

ベル賞委員会はかつての不明を恥じて授与したのだろうか。