林床に咲く 「わかった」の落とし穴

 ミキィさん、アオジですね。ありがとうございました。一昨年の温根内遊歩道で見たのに、すっかり忘れていまし
 
た。歳ですねー。あなたはもう行かれたとか。わたしも年に数回でかけています。
 
 
 そらさん、オジロやタンチョウなどの大鳥は迫力があって出会うのが楽しいけれど、小鳥もじっくり眺めていると
 
ほんとにかわいらしくて。
 
 
 オリオンさん、息子さんから母の日のプレゼント、よかったですね。お食事はそうめんですか、こちらはまだ朝
 
夕食は温かいほうが。今朝はこれからカレーうどんを作ります。
 
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 エゾエンゴサクよりもっと地味だけれど、ほんの短い間1センチにも満たない花を付けてすぐに地上部が
 
消えるこの小さなスミレも、毎年見つけないと物足りなくて。
 
 
「わかった」が落とし穴 ?
 
 「日経サイエンス」が最新の6月号で東日本大震災を特集しています。そのなかでわたしが注意を
 
引かれたのは以下の記事です:3・11以前に、産業技術総合研究所が05年から5年をかけて石巻
 
平野と仙台平野を中心とする広域地質調査を実施し、コンピュータシミュレーションをしていた。それ
 
でわかった貞観地震(869年)による石巻平野と仙台平野の津波浸水域は、今回のものとほぼ一致し
 
ていた。また04年から行われた大阪市立大の原口強准教授の調査で、産総研対象域より北で貞観
 
津波由来らしい堆積物を発見されている。さらに気仙沼 いわき市大洗町 にもこの津波のものと
 
思われる伝承がある。それらを総合するとM9.0に近づき、今回とほぼ同じ規模になる。しかし3・11
 
以前は、毎年発表される膨大な数の地震研究のなかで、貞観地震関連の報告はほとんど注目され
 
なかった。(以上は2831) さらに3月9日に三陸沖でM7.3の地震があり、いまは2日後の大地
 
震の前兆と考えられるが、当時はその可能性を指摘する動きはなかった(33)
 
 つまり今回の事態を予測する手掛かりはあったのに、研究者の業界、したがって行政も、それに注
 
目しなかったということです。なぜか。雑誌「科学」(岩波)の去年八月号が、南海トラフ巨大地震(
 
海・東南海・東海地震)と首都圏直下地震を特集しています。そのなかに気になる発言がありました
 
(813頁)越智(繁雄―内閣府参事官)「この2,30年の地震科学の進歩には、たいへん大きなもの
 
があると認識しています。(中略)地震のメカニズムの解明と理解はこの20年で一気に進み、被害想
 
定もかなりの確かさをもって行える状況になりました。」平田(直―東京大学地震研究所)(前略)
 
も、この10年で地震学は進歩したと思っています。(中略)これ(全国に1000台の地殻変動観測GPS
 
が配置されていること―引用者)は世界でも日本だけです。」地震関連業界のこの自信。「膨大な数
 
地震研究」のなかで、南海トラフ巨大地震と首都圏直下地震関連は注目され、年限ごとの発生確
 
率も計算されていました。その自信でしょう。
 
 一方太平洋プレートの沈み込みが引き起こす今回のよう大地震は、確率的数値が発表できる段
 
階には至っていなかったようです。だとすれば、「わかってきたこと」がうれしくてそこに関心が集まり、
 
「わかっていないこと」のなかにあるかもしれない重大なことに警戒心があまり働かなかった、というこ
 
とになります。「日経サイエンス」の特集で、カリフォルニア工科大学T.ヒートンが語っています。
 
(地震についての―引用者)私たちの現在の理解について詳しく検討したなら、標準的な数々の理論
 
に欠陥がすぐに山ほど見つかる。地震のプロセスに関してはたくさんの大きな謎が残っている。(
 
)私たちの知識はとても初歩的で、おそらく甘いと思う。」事前にこの警戒心が日本の業界にもあっ
 
たら、過去の歴史記録にもう少し注意を払ったのではないでしょうか。たとえ記録が「科学的」ではな
 
かったとしても。
 
  「わかった」と思い込むことの落とし穴は、311地震そのものだけでなく、原発にもその他のさまざ
 
 まな科学技術にも潜んでいるような気がします。「科学的」にまだわかっていなくても、文系の研究や  
 伝承にも、素人の心配にも、注意を払う、そういう見識の広さを研究者業界や行政に求めたいと思いま
 
 す。貞観地震関連の記録には、今後の事態への示唆もあります。その点はまた稿を改めて。