春を待つ田園

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 網走湖北岸の丘陵に広がる田園地帯です。雪を掘り起こしたり融雪剤をまいたり、農家の人々は耕作の準備
 
を始めています。3・11の悲劇は記憶に生々しく、福島原発からは放射能が出続けていても、季節はめぐり北の
 
大地に春の気配が濃くなります。
 
 地盤が低下し塩害が残る田園が甦るのはいつになるのでしょう。原発事故跡地は封鎖され、禁忌の地になる
 
のでしょうか。失われ命を取り返すことはできず、手塩にかけた耕地や家畜を失った悲しみはきっといつまでも癒
 
されません。
 
 それでもまた人々は日常の営みに戻り大地はヒトで満ちます。文明が始まってから現在まで、戦乱と災害が繰
 
り返され、いく度も人のくらしと命が奪われました。死を悼む人さえ残らない大量死もありました。人口が半減した
 
り住民がそっくり入れ替わったりもしました。生残って埋められない空洞を抱える人も、いつか逝きます。やがて
 
壊れた道具と屍を抱く大地の上にも、豊かな実りが広がって建物が建ち並びます。ずっと昔から季節が循環し
 
ていたのと同じように。でも今年の春は二度となく、死者は甦りません。