残氷の海 被曝の安全性

 まりさん、事故の教訓を何とか今後に活かしたいですよね。
 
 
 そらさん、太陽光発電燃料電池を建物ごとに備えるなどの方向にエネルギー政策を根本的に転換すれば、
 
豊かさを手放さなくても原発は廃止できると思いますよ。
 
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 2週間前のオホーツク海はこんなでしたが、昨日能取岬から眺めた海は遠く小さく浮かぶ氷片が辛うじて見え
 
るだけでした。
 
          被曝の安全性をどう考えるか
 
原発事故の放射線漏れについてこれまで行われてきた公式発表のトーンは、「この放射線レベルなら一時的に浴びたり摂取したりしても健康に害はない、」というものでした。しかし空気・牛乳・野菜・海水・飲料水と、次々基準値超が報じられ、域外や屋内への退避、摂取や出荷の制限が指示されているのに、「念のためだから心配するな」では、何か不透明な感じがします。
「心配ない」の根拠として、自然放射能や医療被曝量との比較が語られています。「自然放射能や医療被曝の水準なら無害」が前提です。確かに高量被曝による熱傷など急性症状についてはその通りだと思います。しかし多くの専門家が、自然放射能や医療被曝を含め、ここまでの被曝なら長期的な発ガンリスクが増えないという基準はない、と言います。
彼らの説明をわたしはこう理解しています:体の細胞は体の維持・成長の必要に応じて分裂・増殖したりしなかったりするように、コントロールされている。DNAが損傷して、このコントロールが効かなくなった細胞が無秩序に増殖するとガンになる。自然放射能も医療被曝もDNAを損傷するが、細胞にはそれを修復する機能があり、それを潜り抜けてできた小さなガンもほとんどが免疫機能で除去されるので、発症することは少ない。しかし遺伝や後天的な身体内外の環境によってDNA修復能も免疫機能もうまく働かないことがあり、そういう場合に発症する。一般的に身体に蓄積された放射能が増えると発症する確率が増える。医療被曝でも発ガン確率は高まる、と。この理解が正しければ、福島原発事故によって平常より増えた被曝が、長期的な発ガンリスクを増加させることはないと、言い切ることはできません。
「日本人のガンの3.2%は診断用X線が原因」と主張する意見があると、雑誌「科学」20059月号で今中哲二が書いています。この数字にどれだけ信頼性があるかはわたしに判断できません。しかし、宇宙線であれCTであれ、通常の被曝でもいくらかは発ガン確率にかかわりがあると思っています。事故による被曝量の増加は、基準値以下ならそれ自体はリスクが小さくても、通常の被曝量にプラスされて蓄積されることになります。発症は被曝後10年から数10年とのこと(同 今中)ですから、枝野長官の「今直ちに」はともかく、「将来的にも健康に害はない」という言葉は信じていません。細部の理解は間違いがあっても大筋では、わたしのこの判断に同意する専門家は少なくないと思います。「心配ない」とテレビや新聞で言っている専門家にも、これはわかっている人が多いと思われます。
わかっていても「心配ない」と言い続けるのは、将来的な発ガンリスク増加を認めたら社会的な不安が高まってパニックを誘発するのではと、恐れているからでしょう。少なくとも老い先短いわたしの場合、10年から数10年後の発ガンリスクが高まると言われてもまったく心配しません。正確な情報が伝えられているとわかれば、人々の多くはパニックにならないとわたしは信じています。「急性症状の危険はない。将来の発ガン確率が数%増える可能性を完全には否定できないが、パニックになって、炉心爆発という最悪の事態を防ぐ作業や、緊急な津波被害者の救助を妨げないで欲しい」と語ったほうが、人々の気持ちは落ち着くと思います。将来の長い赤ちゃんや子どもの被曝を少なくしようと努力はするでしょうけれど。