岬の海と福寿草

 きのうの能取岬は、崖の斜面や笹原には雪が残っていましたが、人が通るのはぬかるむ泥と草の根の道。フ
 
キノトウはわずかに先端を覗かせばかりで、フキ味噌用に摘むにはあまりにも可憐なので、手を出しませんで
 
した。
 
 白波の立つオホーツク海にはもう一かけらの流氷もありません。福寿草は、枯れ草の茎に隠れるように蕾をつ
 
け、ぽつりぽつり開きはじめたところ。気をつけなければ見落としてしまいます。観光バスで乗り付けた中国人団
 
体客は、かしましく叫び交わして、海を背景に記念写真を撮るのに夢中です。目立たない花になど一顧もしませ
 
ん。残雪を踏み、枯れ茎を折って花を求めるのはわたし一人。
 
 関東にいたころ、福寿草といえば、お正月に飾られる鉢植えのイメージしかありませんでした。こちらに来て、
 
3月末から5月にかけて、林や草原に乱れ咲く野草なのだと、認識が変わりました。能取岬のは絶滅危惧種
 
キタミフクジュソウ。鉢植えに似て、短い茎の先に小さな花を乗せ、黄色はあざやかでも、慎ましやかな印象で
 
す。夏近くに森で見ると、膝上まで草丈があって葉が茂り花も大きく、とても同じ種とは思えません。
 
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