270度の展望
ゆめラジさん、文字文化が始まってからも長い間、身の回りの生活圏を越える情報を入手できるのは、
めぐまれた立場で勤勉に努力する少数者だけでした。それも、鮮度が低く、量が限られ、精度の低い情報
でした。それがここ2,30年で、わたしのように貧しい怠け者でも容易に、豊富な情報にアクセスでき
るようになりました。精神文化の大きな変動が始まる前夜を生きている実感があります。
オホーツク国道(国道238)がサロマ湖南岸を通る40キロ弱のほぼ中間に、標高376メートルの幌
岩山の展望台に通じる山道があります。塔の上からは湖と海、それに森林と牧場が広がる丘陵地帯を見渡
すことができます。入り口の道標はうっかりすると見落としそうで、今回も少し行き過ぎてバックしまし
た。クマ注意の看板を過ぎるとダートになります。途中で車を停め、出迎えてくれた狐さんに挨拶してか
ら、駐車場へ上りました。
急な坂と階段を登って塔の上に立つと、秋晴れの空の下に草木の緑と水の青が広がっています。木々に
視界をふさがれている背後の一部を除き、だいたい270度の展望です。ホテル・ルートインの先にある
漁港から始めて、右回りでサロマ湖の全景を撮ったのが冒頭の写真です。
ここから見ると、湖とオホーツク海を隔てる北岸の砂洲はいかにも頼りなく、少し荒い波なら容易に乗
り越えそうに感じられます。でも、2枚目に見えている湖西側の砂洲には集落があり、原生林も広がって
います。最後の一枚で左端の部分にも、歩いてみるとけっこう深い感じの森があります。そうそう、ここ
の遊歩道が完成したそうですから、今度歩いてみましょう。