クサフジとキンミズヒキ

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 珍しくもないありふれた花も、しみじみ眺めれば捨てたものではありません。写真は「しみじみ眺め

る」を形にできるみたい。あたりまえのことですけど、鈍なわたしは今ごろ気づいて感心しています。キ

ンミズヒキは森陰に咲いているのでバックが暗くなり、周りを無視して注目したように花が浮きたちま

す。クサフジもトリミングして背景を切り捨てると、遠くから眺める群落にはない華やかさが強調されま

す。ところで、写っている蜂は、オオマルハナバチでしょうか。尻尾の色が黄色だから、駆除対象のセイ

ヨウオオマルハナバチではないようです。


 ミキィさんのブログ記事に触発されて、官と民のことをちょっと考えました。


 同じ前近代の身分制度も、西欧と日本ではずいぶんちがっていたと思います。

 西欧では(と言ってもわたしがちゃんと調べたことがあるのはイギリスだけですけど)、集団内部ではみ

んなが法的に同格です。そして諸集団の間に、身分的な階層秩序がありました。内部での上下関係は法的

なものではなくて、武力や財力などによるものですから、常に競い合って変動します。それとは別に集団

間でも法的な権利を争いました。下位集団が次々上位集団を目標に権利を拡大し、全国民が同等な権利を

認められたのが近代の夜明けです。今でも国は、拡大された身分集団という性質を残しています。内部で

は法的平等が原則です。官僚制的序列秩序は契約された職務分担であって、身分ではありません。ところ

が集団間の序列は共同的な意識の深部に絡み付いていますので、いまでも外部(マイノリティー集団や外

国人、他民族)への差別意識は根強いものがあります。

 日本の身分制度では階層性が集団内部に浸透しました。一人の頂点の下に、末端まで身分的に序列化さ

れました。そういう集団が並立して互いに勢力を競います。内部をつなぐのは上位者による庇護(恩、ひ

いき)と下位者による滅私奉公(報恩、忠義)の連鎖です。情が絡んだ人格的な支配=恩恵と被支配=従順

な奉仕の交換です。集団間では互いに内部の身内意識を固めて勢力を争います。明治以降、政治的集団は

解体され、国家に統合されました。しかし実質は有力集団のいくつかが融合して、その上位身分が国家官

僚の上位を占有したということです。その下に身分制的情緒を引きずる階層秩序の網の目が張り巡らされ

ました。そして企業などの民間集団にも身分制的身内意識が残りました。

 そういう歴史的な経緯を考えると、今さかんな官たたきは、それぞれの内部で身分的序列感覚を伴う身

内意識でまとまった集団間の、権力争いとも見えてきます。内部の序列秩序が解体されない限り、いまの

官僚を民間の人材で置き換えても同じことが起きるよう気がします。政府でも民間でも、人格的序列秩序

を仲間の評価(ピア・レビュー)にもとづく職務秩序で置き換えることが必要なのだと思います。もっとも

その点では、民のほうが官より少しだけ先に進んでいるのかな。ごくわずかですが、上下の差別なくイノ

ベーションを活性化させている企業が現れている気配です。官でもあるのかもしれないけれど、ごく小さ

な地方政府のごく例外的な現象みたい。