薮からキツネ 宇宙論のいまは
幌岩山のサロマ湖展望台駐車場に着いたとき、本州のナンバープレートをつけた車から降りた男女が、
食べ物をかざして引き寄せたキツネを撮っていました。これはやって欲しくないですよ。車道でぼろきれ
のようになった死骸を何度見たことか。観光客から餌をもらうことを覚えると、車を怖がらなくなるの
で、事故に会いやすくなります。あの人たちはキツネの寿命を縮めていることを知らないのかなー。展望
台から戻ったら、まだ2匹うろうろしていました。こちらの様子を覗って食べ物をもらえないと判断した
のでしょう、さっと薮に隠れました。それでも一匹は立ち去らずに、眼だけはカメラに向けています。
〔宇宙論のいまは〕
いまの宇宙物理学は数学のことばで記述されているらしい。わたしの数学知識はいはば幼稚園レベルな
ので、まったく手が届かない。だから次の短文は、専門家が比喩として普通のことばで書いたものから、
わたしにもわかりそうな断片だけを拾って、勝手にまとめてみただけのこと。
宇宙は、何もない真空以外はすべて原子からなると信じられていた短い時代があった。だがいまの定説
では、原子は宇宙質量の5%弱を占めるにすぎないとされている。23%は暗黒物質。それは光とも原子
とも相互作用しないので見ることができない。ある説は、原子を構成するものとして標準理論に組み込ま
れているのとは別な、未知の素粒子を考えている。今秋から稼動する予定のLHC(欧州原子核研究機構
の大型ハドロン衝突型加速器)の実験で、この説につながる何かが発見される可能性もあるとか。
宇宙の残る73%近くを構成するものは、暗黒エネルギーと呼ばれる。引き合う力(引力)である重力と
は反対に、斥けあう力(斥力)として作用するエネルギーであること以外、まったく正体がわかっていな
い。ただ、宇宙が加速膨張していることが確かになったので、「真空」にもあまねく存在する斥力のエネ
ルギーを否定できなくなったということ。
暗黒エネルギー(真空のエネルギー)を理解するには、重力理論である相対性理論と素粒子物理学の量子
理論を統一する理論が必要だと言われている。その候補としていまもっとも勢いのあるのが、弦(ひも)理
論であるらしい。極少のひもが想定されて、その振動のさまざまな形がそれぞれの素粒子として現れると
されている。ひものスケールは、0.00・・・・・1cm。小数点以下にゼロが33個続く(10のマイナス
33乗)、プランク・スケールである。このスケールまで来ると、時間も空間もなくなるとか。
ひも理論には、ある空間の大きさとそれをひっくり返した大きさが同じという性質がある、という意味
の記述を読んだことがある。そうすると、極微のプランク空間は事象の地平線までの宇宙の広がりを超え
る、ということになる。10のマイナス33乗cmの逆数は10の33乗cm、すなわち10の28乗k
m、1京の1兆倍km。事象の地平線まで150億光年とすると、9.46兆km(=1光年)の150億
倍だから、1.419×10の23乗kmである。時空が消える極微空間は膨張する宇宙そのもの?