三つの滝 2

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 暑いところにいる方に目で涼んでいただく第二弾は、知床半島オシンコシンの滝です。前に立つと実際

に飛沫がかかります。こちらは今朝も肌寒く、あの冷気はあまり想像したくないです。ところでこの滝の

駐車場売店に、太った野良猫が住みついています。一昨年は「この猫凶暴につき近寄らないように」と札

が立ててありました。ところがいまは来訪者の人気者になっていて、わざわざ会いに来る人もいるんです

って。何日か前の朝日新聞に写真付きで紹介されています。わたしは猫好きではないので、撮ろうとは思

いませんけれど。


 村上春樹の小説『1Q48』を読み終わりました。いまわたしの心を波立たせている余韻が何なのか、

自分でもよくわかりません。

 作者が扱っているテーマは、わたしたちが入り込んだあいまいで不定形な時代そのもの ? 金銭財物へ

の欲や特定個人への怨恨のような、わかりやすい動機で説明できない凶悪犯罪の頻発。解体した世間に代

わって心にまとわりつく個別仮想的な束縛。浮遊し容易に結んでは崩れる共同観念。現実と妄想の間で溶

けてにじむ境界線。社会に向かわずに内向しながら、焦点を結ばずに放散する貧困と苦役。

 リトル・ピープルや空気さなぎ、それに末尾の希望のようなものが、何の隠喩なのか、わたしの乏しい

想像力ではうまく推定できません。ただ、定義された明瞭な言葉、あるいは論理の網で捉えようとすれ

ば、ぬるりと形を変えて滑り落ちてしまう時代相に向かいあって、多義的であいまいさを含む文学の言葉

を武器に格闘した作品のようです。あいまいなものをぬめる形のまま捕まえたいという作者の執念。それ

がわたしの興味を最後までつなぎ留めたのだと思います。