白い土手
ろまったく気づきません。凍結と融解を繰り返して落ちてしまったのかも。それとも、餌が乏しくなっ
て、鳥たちが最後の始末をつけたのかな。
きのうの狂った陽気は美幌だけでなかったようです。道内の多くの場所で1月としては史上最高気温が
記録されたと、今朝の新聞に書かれていました。史上と言っても、観測記録が残るようになってからの意
味でしょうから、100年程度のことですよね。長い時間尺度で見れば、平均気温が今より20度も高か
ったり低かったりした時代もあると言われています。それにしても、近代化の300年ほどは気候がわり
あい安定していました。このところ崩れはじめている、それは感じますね。
毎週月曜日にNHKのBSでドラマ・ERが放映されています。第13シリーズです。これまでのシリ
ーズと比べ、わずかですがテンポが遅くなって、重さが増したような気がします。かつてプロデュースし
ていたマイケル・クライトンの死とかかわりがあるのでしょうか。彼には彼なりの理念がありました。作
品はそのフィルターを経て完成していたのが、彼が去って制約がなくなり、アメリカ社会の気分をよりス
トレートに反映するようになったというのが、わたしの想像です。
泥沼に足をとられるような戦争が続き、所得格差拡大と価値観の分裂で国民的統合が危機に瀕していま
した。大統領がオバマに決まるまでは、人々の絶望感に出口がなかったと思います。製作者もドラマで
次々取り上げる深刻な問題を、解決不能として提示する方がリアルだと思ったのでしょう。以前はどんな
重い問題を取り上げても、社会はそれを解決する力があるという、希望の芽のようなものがかすかにあっ
て、それが見る側の気持ちをいくらか救済していました。いまは重いだけで終わる回が増えている、そん
な印象です。
救いのない番組はいやだと言う人が多ければ、そのうちにERも終わるかもしれません。でも、日本み
たいに、こう描けば視聴者の感情をこう操作できるという、製作者の底の浅い計算で作られる番組だらけ
になったら、テレビはもうほんとうにつまらなくなります。ドラマでも小説でも、「気に入られようと気
に入られまいと、オレはこれを表現しなくてはいられないんだ」という思いがなければ、心に深くは届き
ません。
倉本聰が最後の連ドラを発表し終わり、山田太一もいま放送中の番組で最後にするようです。残るのは
口当たりがいいだけでふにゃふにゃな腰抜けドラマだけ?ERやグレーズ・アナトミーは、社会の現実、
心の底をとことんさらけ出したときの男女・親子の葛藤などを、目を逸らさず注視する姿勢があるだけま
しです。