アオサギとサンゴソウ
ご主人が、「これから来週歩くコースを下見に行くのですが、よかったら一緒にどうですか」と誘ってく
れて、便乗させてもらいました。前日彼とサンゴソウの話をしたとき、わたしが、「卯原内は去年も一昨
年も見たのでもういいけど、キムアネップのは見たいと思っています」と話したのを、覚えていてくれた
のです。ここは原生花園から10キロほど北西に行ったところにある、サロマ湖に突き出した岬です。
この日能取湖畔の卯原内ではサンゴソウ祭りが行われていました。帰りに付近の国道を通ったら、会場
から国道出口までぎっしり車がつながって、係員が交通整理をしていました。サンゴソウより人を見に行
くようなものですね。それに比べるとキムアネップ崎は、ちらほら訪れる観光客がいるだけで、静かなも
のです。運転してくれた彼もここははじめてみたいで、「こっちの方が自然でいいですね」と言っていま
した。赤いサンゴソウと白いサギの群。この取り合わせは卯原内にはないものです。どちらも近くに営巣
地があるようですが、人の絶えることのない名所ですから、湿原に下りた群を見ることはありません。
卯原内では時季が終わると、赤い絨毯が来年も広がるように、湿原を掘り返して手入れするとか。キム
アネップはそんな世話をしていないと思います。草丈が少し低くなっていました。放置されているだけ
に、緑の混じり具合が自然な感じです。海水と混じる湿原に生える草です。底は泥炭層。卯原内の池塘で
今年油の浮いているところが見つかり、対策が検討されています。泥炭の成分から出てきたようです。泥
炭は若い石炭みたいなもので、イギリスでは家庭燃料として使われていたと、何かで読みました。