阿寒湖探勝 2

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 nam**i214さん、お互いにつらいですね。わたしも初めて痛みが出たのは60歳の声を聞いてからでし

た。MRIを撮って椎間板ヘルニアだとわかりました。半年ほどかかって牽引や電気刺激で何とか回復

し、テニスを続けることができました。2年前に再発したときはついにテニスができなくなったのです

が、痛みは2・3ヶ月でおさまりました。今度で3回目です。きついのもしばらくのことでやがてまた楽

になると思って、まだ医者に相談していません。


 湖上風景の続きで、阿寒湖遊覧船の折り返し点付近です。点在する小島が変化に富む風景を作ってい

ました。初めの2枚には二つの水門が見えています。このあたりから雲に切れ間ができて空が少し明るく

なりました。湖水の色も緑が濃くなっています。


〔新しい文明の姿を考える〕

(14) 多様性と「自然」選択

 生物はまったく計画に頼ることなく、自然環境の大変動をかいくぐって今日まで命をつないでいます。

著者は多様性と自然選択を手段とする生物の適応戦略に言及しています。

 「生命は地球上で最も適応力のあるものだ。・・・・・生命のCEO、つまり進化のコースを指示する外部

の力は存在しないにもかかわらずだ。生命は予測することも、先を読んで行動することも、未来の準備を

することもできないが、適応することはでき、今なお適応している。・・・・」「生命の適応能力はきわめて

複雑な生化学的プロセスに支えられているが、進化の「前進」の設計原理は比較的単純だ。多様性と選択

である。・・・・・」(P.196)「・・・・・現在が未来への手引きとしてますます信頼できないものになってい

る世界では、競争に勝ち残れるか否かは、次に来ると思われるものに備えて計画することより、むしろ次

に来る可能性があるものを絶え間なく実験することにかかっている。確かなことは一つ、未来は予想外の

展開になるということだ。・・・・・」(P.198)

 「ほとんどの企業が、業務の完璧さを目指して努力している。だが、もしも自然が完璧だったら、もし

もDNAの記述が常に何のミスもなく行われたら、進化のプロセスは停止してしまうだろう。(P.19

9)」「完璧さは進歩の敵なのだ。」「・・・・生物の進化の選択では、どの遺伝子が選ばれてゲノムに

組み込まれるかを決める単一の基準がある。生殖の成功である。・・・・」企業の選択には「あらゆる種類の

政治的バイアス」が働く。経営管理イノベーションには意思決定の脱政治化が必要である。新しいアイ

デアは「一人の幹部や事業部長のよってその運命を決められるのではなく、支援を得るためにオープンに

競争するチャンスを与えられなければならない・・・・・。・・・・・ふつうの社員が意見を表明できる仕組みが存

在していなければならない。・・・・・上級副社長の選択ではなく「自然」選択によって、どのアイデアが推

進され、どのアイデアが捨てられるかが決定されるようにする必要があるということだ。」(P.200)

 「システムの適応力は、そのシステムの多様性によって決定される。考えやスキル、姿勢や能力の多様

性が大きければ、適応の選択肢の幅もそれだけ大きくなる。急速に変化している世界で気をつけなければ

ならないのは、企業が特定の生態的地位に過剰適応することだ。・・・・・多様性に投資することは贅沢では

ない。それは生き残り戦略なのだ。」(P.201)

 「なにしろ大企業と比べると、地球上でもっとも適応力のあるものはほとんど管理されていないか、ま

ったく管理されていないのだから。(P.231)」「実際、新しい千年紀の最も激しい競争は、・・・・・官僚

的管理者層の特権や権力を守りたいと思う人びとと、より階層が少なく、より管理が少ない組織を築きた

いと思う人びととの間で展開されることになるだろう。(P.328)」

 08・7・23のブログでわたしが書いたことをここでもう一度繰り返します。


  生物の適応戦略は、奇想天外な変異を生み出して多様性を増し、環境変化に耐えられない種は滅ぶに

 まかせ、たまたま適応できた形質をもつ種を繁栄させるというものでした。遺伝子転写のミスを何重も

 の防止・修復機能で減らす一方で、ある小さな割合で突然変異が起きるようにミスをゼロにしないとい

 う、絶妙なバランス。それによって多様性を維持しながら有用な形質の劣化も防ぎました。

  生物界には予測、計画、管理をする中央がありません。すべてが周辺です。それぞれの周辺を占める

 生物が、生き残りを賭けて、有用な形質を護りながらも旧くなった形質を滅ぼす新奇な変異を許す。予

 測のつかない環境変化に適応する上で、多様性に賭けて生き残りに有効な新しい形質を模索する戦略が

 有効だったからこそ、いま地球は生命が満ち溢れています。

  (前略)予測が困難な未来に適応するには、中央管理型の文明では限界があります。完全な無秩序は

 避けつつも、新奇な変異を抑制せず、それぞれの周辺が自立的に模索し、現れた新しい有用な形質を速

 やかに波及させる。生物の適応戦略に学ぶそういう方略を取り入れないと、文明は生き延びられないの

 ではないでしょうか。


 人工的環境の拡大で絶滅に瀕した生物種、消滅しかけている少数民族とその文化、それに社会的・経済

的弱者などについては、優勝劣敗思想を認めるわけにはいきません。優れているから栄えるので劣ってい

るものは滅べばいいと、放置することは間違っています。多様性はヒトを含む生物にとって貴重な財産だ

からです。多様性を失った生物も社会もわずかな環境変化で滅ぶ危険があります。しかし企業や政治など

の人為的組織については、自然選択に似た仕組みが必要です。環境変化に適応できないものが退場し、で

きた空き地を、さまざまな新しい試みのなかで新しい環境に適応しているものが埋めていきます。

 遺伝子変異のほとんどは有害で、わずかな変異だけが適応に有利な形質を発現します。その選択は一個

の全能者によってではなく、環境のすべてによって行われます。経済や社会にかかわる新しいアイディア

も、その大部分は無価値だったり弊害の方が大きいものだったりするでしょう。それでも、そもそも新し

いアイディアの数が少なければ、有用なものも少なくなります。不透明な明日に備え、文明は適応進化を

加速すべきときです。発案と採否選択と実用化の担い手を急いで拡大しなくては。

 多様なアイディアを提起し、膨大なもののなかから有害あるいはダメなものを発見して速やかに除去

し、貴重なものを注意深く育て上げる仕事は、少数の賢い人間の手にあまります。それに、既に有利な地

位を固めてしまった指導者は、変化に対して偏見をもつ動機があります。できるだけ多数の一般人が、ア

イディアの発見、選択、育成に参加すべきです。大きな可能性をもつヒトの脳を、ロボットより安く使え

るという理由で、機械に置き換え可能な筋肉労働で消耗させて、ムダにすべきではないでしょう。

 支配・管理するものとされるものの分業を維持したままで、安い賃金で長時間の単純作業で酷使されて

いる人に、アイディアを出せ、いいものとダメなものとを見分けろ、研究開発に協力しろと言っても、な

かなかうまくいきません。集合的な知を賦活するにはいくつかの条件が必要です。次回はその点を考えま

す。(続く)