えはじめます。名前はなんだろうと思いながらも、枝は小ぶりで花も小さく、撮る気になりませんでし
た。ところが、終点の七合目で登山者名簿に記入して歩き出すと、登るにつれて咲き誇る群が大きくな
り、色も白から黄色みを帯びてきます。カメラを取り出していたとき腕章をつけた女性が追いついてきた
ので、花の名を尋ね、ウコンウツギと教えてもらいました。8合目くらいまで登山道の両側に咲いていた
のはほぼこの一種類。
そろそろ引き返すことも考えていたのですが、彼女にこの少し先から展望が開けると言われ、登り続け
ました。しだいに大小の黄色い花(後でチシマノキンバイソウとミヤマキンポウゲとわかりました)や、ナ
ナカマドの一種と思える白い花などが次々に現れます。カラマツソウも大きな群落になっていました。視
線を遮っていた木々の背が低くなり、斜面一面の緑を背景に黄色や白が散らばる様を一望できます。歩き
続けたからこそ出会えた夢幻の風景。登る苦労があるので、山のお花畑はひときは心にしみるのでしょう
ね。
このあたりから上はブルー、ピンク、紫と色彩も豊かになります。曇ってガスがかかり、大雪連山の偉
容はあまり展望できませんでした。それでも、黒岳山頂には登山道脇とはまたちがう花が咲いていて、十
分満足できました。いまもまだ両足と杖を握っていた右腕の筋肉痛は消えていませんが、登り切ってよか
った。この山のさまざまな花や景色はおいおいアップします。でも、なんといってもいまの時季、黒岳東
面を代表するのはウコンウツギです。去年行った旭岳の高原台地では見た記憶がありません。ほぼ同じ頃
の大雪なのに、両方にそれぞれにちがう楽しさがあります。