フラパラの牡丹(後)

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  nam**i214さん、お写真拝見しました。いまの時季のフラパラ、小清水原生花園、知床ですね。今年も

いい旅でありますように。


 写真はフラパラの牡丹の続きです。

 今日はこれから出かけ、釧路湿原西部、霧多布湿原を歩きます。一泊して、うまくいけば霧多布岬から

日没か日の出の太陽を撮るつもりです。というわけで、明日のブログは午後か夕方のアップになります。


 〔新しい文明の姿を考える 〕

(9) 経営管理の新しい試み(中)

 あなたがW.L.ゴア社の新入社員だとすれば、管理職があなたをどこかの部署に配置してくれる期待

はもてません。そもそもこの会社には管理職というランクや肩書きがないのです。初めの数ヶ月は、指導

係になったベテラン社員の案内で、いくつかの作業チームを回って短期間そこで働きます。あなたは希望

すれば別な指導係を自由に探すことができます。あなたをチームに迎え入れる決定をするのはチームのメ

ンバーです。チームにはリーダーがいますが、その人は上司から指名されるわけではありません。「足で

投票」されるのです。あなたが招集した会議に人が集まればあなたはリーダーです。

 リーダーは地位の権力を濫用するわけにはいきません。だいたいそんな権力は初めからないのです。多

くの同僚の忠誠を長期間確保できれば自然に権威が増すだけです。チームはいつでもリーダーをすげ替え

られます。ゴアでは仕事を割り当てることはできず、相手の意志で引き受けてもらうのです。社員はどん

な要請も断ることができますが、いったん協力を約束したらそれは神聖な誓約とみなされます。社員は上

司に対してではなく、チームに対して責任を負っています。最初のチームに参加して2,3ヵ月後には、

2つ目3つ目のプロジェクトへのコミットを勧められます。人は多面的な幅広い関心をもつものと考えられ

ていて、ひとつの仕事に時間を100%使うことは求められていません。

 すべての社員が週に半日「遊びの時間」を与えられて、自分の好きなプロジェクトに使えます。ゴアの

基本はアイディアの市場です。優れたアイディアがある人は、そのプロジェクトに優秀な人材を集めよう

と競争し、社員は有望な企画への参加を競います。

 遊びの段階をすぎたプロジェクトは、「本物、勝利、価値」という三段階の評価を受けて、使用できる

資源の大きさが決まります。まず、本当にニーズがあるか、何人程度の顧客を期待できるか、どの程度の

価格であれば購入されるかなど、「本物」であることを立証しなくてはなりません。開発が進んで次の段

階になると、自分たちの会社に技術的な優位性があるか、スキルは足りているか、規制上の問題は解決さ

れているかなど、市場での「勝利」の可能性が検討されます。最終段階では、どの程度の利幅を見込める

か、そのために必要な業務体制は構築できるか、損益分岐点に達するまでの期間はどのくらいかなど、

「価値」の評価をクリアーしなければなりません。タイムリミットはありません。関心をもつ複数の社員

がいるかぎり、プロジェクトは存続します。そもそも企画をつぶす権限のある上司という存在がないので

す。

 メンバーはチームへの貢献で評価され、チームは功績で評価されて、それがメンバーの報酬に跳ね返り

ます。すべての社員が年に一度包括的なピアレビュー(同僚による評価)を受けます。たいてい最低でも2

0人の同僚からデータが集められ、同じ分野で働く人で構成された報酬委員会を経て、全社員のなかでの

報酬ランクが決まります。年功に意味はなく、仕事への圧力は上司からではなく、仲間から来ます。社員

は全員が株主です。入社一年後からは給与の12%が株式で支払われ、時期が来ると使用でき、退職の時

には現金化できます。

 この会社は1958年に創業され、今では年間売り上げ21億ドルで、世界各地に45工場をもち、8

000人以上の社員を擁する企業に成長しています。アウトドアウエア素材のゴアテックスで有名です

が、繊維・布製品のほかにエレクトロニクス、医療、工業資材などの各分野で、1000種類以上の製品

があります。50年近く一年たりと赤字を出すことなく、毎年着実に収益を伸ばしていて、働きやすい企

業リスト上位の常連です。

 今回は同書第5章を簡潔に紹介するため、わたしなりにアレンジして記述しました。(続く)