センダイハギ光る

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 毎年のことながら陽を浴びて光る黄白色のセンダイハギは見飽きません。


 帰ってからタウン紙で読んだのですが、ワッカ原生花園エゾタンポポが残る数少ない場所のひとつだ

そうです。歩いていて、藪になっていない草地ではセンダイハギの代わりに、タンポポが鮮やかな色彩を

広げていることには気づいていました。それが絶滅が心配されている固有種だったようです。意識してい

なかったので、ガクの部分を確かめませんでした。ウチの近くの公園広場もいま一面が黄色いじゅうたん

で覆われ、それはそれは見事です。でも西洋タンポポです。どこにでもあってもとからある植物を駆逐す

る繁殖力から、むしろ嫌われています。きれいはきれいですのに。とはいえわたしも、庭で見つけるとす

かさず抜いています。


〔新しい文明の姿を考える〕

(6) 労働生産性と官僚制

 欧米列強が世界各地に植民地を築き、その地の富を収奪して帝国主義的繁栄を謳歌した、という類の歴

史観があります。確かに彼らは、征服地の支配者層が蓄積していた富を奪い、自給小生産者のくらしを揺

るがし、現地社会の安定を破壊することはあったでしょう。しかし基本的には欧米列強がアフリカ、アジ

ア、中南米で、住民の大多数を占める自給小生産者から搾り取ったもので豊かになったという考えは、間

違いだと思います。

 工業化が進む前は、世界のどこでも生産者の階級は貧しく、家族の生存に必要な最低限を超えて生産で

きる余剰はわずかでした。侵略者が現地の伝統的支配者以上に生産者から収奪したら、彼らは大量に死滅

しやがて労働の担い手がいなくなったことでしょう。中世から近代への移行期に、欧米各国でも植民地で

も数々の暴力的略奪や収奪が行われています。しかしそのために世界人口の激減が起きたとは記録されて

いません。先進諸国が豊かになったのは、基本的には後進国から富が移動したからではなく、他国に先駆

けて労働生産性が急上昇したためです。

 地球上のヒトの総労働を世界人口で割った一人当たりの労働量を100としてみます。100全体が衣

食住の必要を満たし子孫を残すために必要だとすれば、生産物のすべてが消費しつくされて富はまったく

蓄積されません。前近代ではその必需部分の労働が90であったとすれば、残余の10の人口倍が富とな

り、支配者や大商人のもとに蓄積されたり戦争で消費されたりします。

 ここ70年間でアメリカ製造業の労働生産性が5倍になったとか、180年間で世界の一人当たりの平

均所得が9倍になったとか推定されていますから、現在の必需部分は、10とか20とかという、ずっと

小さな割合になっているはずです。同じ量の必需品生産が10の労働で可能であれば、90の労働が必要

な場合に比べ、必需品の生産効率が9倍であると言えます。選択消費の対象を生産する残余の労働の生産

性も同じです。労働生産性が急上昇した地域は豊かで、上昇が鈍かったり変わらなかったりする地域は貧

しいままです。分配の問題は別にして、地域の総生産としてはそういうことです。

 生産性急上昇を可能にしたものとして、資本と無産労働者の蓄積、近代科学と技術の発展、交通・通信

手段の進歩、法的平等と人権尊重など、さまざまなものが考えられます。その他に、近代的経営管理の確

立も大きな役割をはたしました。前世紀の最終四半期まで、先進諸国の基幹産業になっていたのは大規模

工場生産です。大勢の人間をひとつの目的に向かって動員・組織し、その労働を指揮し、必要な原料・燃

料・設備を準備し、販路を確保する、そういう経営管理があってはじめて、動力機械が生産性向上に威力

を発揮します。

 『経営の未来』の著者が示す近代経営管理の6つの原理(前掲 P.191・2)を、わたしなりにまとめて

みます。標準化: 規模の経済性・製造効率・信頼性・品質を高めるために、企画・事務・現場などのす

べての作業を標準化して、標準からの逸脱を最小にする。専門化: 複雑さを減らして学習を効率的にす

るため、類似した活動をまとめた単位グループを作る。目標の一致: 個人の努力を一方向にまとめるた

め、トップダウンで目標と評価基準を定めて階層的に伝達する。階層組織:広い範囲の業務を管理するた

め、限界を定められた権限のピラミッドを築く。計画・管理: 予測可能な形で計画的に業務が遂行され

るように、需要を予測し、予算を立て、作業スケジュールを決め、計画からの逸脱を追跡・修正する。外

的報酬:努力の動機を与え方針・標準を遵守させるため、指定された結果を出した個人やグループに金銭

報酬を与える。

 これらの原則を実行に移す組織の形としては官僚制が最適です。もともとは、顔見知りの範囲を越えて

集団が拡大し国家の形をとったときに、王室の家産管理から始まって、宮廷外の人々をも組織し管理する

ために、官僚制が発達しました。近代以後、ボスの人格的支配を越える規模になった大きな民間営利企業

にも、官僚制が取り入れられました。『経営の未来』には、マックス・ウエーバーの官僚制論が紹介され

ています(前掲 P.15・6)。彼は官僚制についてこう言います。「・・・・・形態的には、人間に対する

不可避の管理を実行する最も合理的な既知の手段である。官僚型の管理組織は、正確さ、安定性、規律の

厳格さ、および信頼性の点で、他のいかなる形態にも優っており、・・・・・」。

 前近代の政府官僚組織は、身分制度の妨げもあって、常に腐敗にさらされていて、なかなか純化されま

せんでした。ウェーバーが理想とする純粋形はこうです。すべてのメンバーの業務と責任の範囲が明確に

規定され、地位の階層性と権限の序列があり、各自が専門能力または学歴で地位を与えられ、経営管理

自身は主要な所有者ではなく、彼らは所有者のために働く存在で、すべてのメンバーが客観的で一律に適

用される厳しいルールと管理に縛られている、そういう組織です。

 身分制組織と純化された近代官僚制のちがいを考えてみます。

            身分制               近代官僚制

トップ      世襲:交代は死亡、自主的引退、 選挙または互選:交代は選出母体

          クーデター、戦争などで。    の決議または再選挙で。最終

          血筋や聖別が要件        選任権は所有者(会社)か

                          国民・住民(政府)がもつ


地位・階層    世襲+上位者の引きや寵愛    選抜試験または上位者(たち)の

                         決定(合議)、能力と資格(学歴)

目的       体制の維持とトップの存続    利潤または他に明文化されたもの

業務・責任・権限 慣例+上位者の恣意       地位・階層ごとに範囲が明確

評価       基準があいまい         基準が明確

 今の日本や韓国などでは、形式的には近代化されているものの、実質的には身分制社会の遺風が払拭さ

れていないようなところがあります。中国やその他の急激な追い上げが注目されている国には、封建的ま

たはスターリン主義的身分制に、まだ強く制約されているところがあります。これらの国については、表

現はちがっても内容としては、純化された官僚制による企業や政府の経営が必要だという主張がよく聞か

れます。しかし、『経営の未来』の著者は会社が不断に発展するには、官僚制とちがう組織が必要だと主

張しています。わたしは新しい文明には官僚制に代わる協同組織の普及が必要だと考えています。(続

く)