逆光の霧氷

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 yutakarlson さん、ブログ拝見しました。海洋牧場はおもしろいですね。技術面やコストなど、構想を

具体化してみてくれる人がいるといいのに。ところで朝日新聞道内面できのうまで連載された「環境異

変」はご覧になりましたか。温暖化によって流氷が減少していて、その影響は道内観光への打撃にとどま

らず、海洋の塩熱循環を停滞させる可能性があり、太平洋の漁場が貧困化するかもしれないと指摘されて

います。そうなったら、海洋牧場もうまくいかないかも。


〔生態系サービス 2  承前〕
 
 記事が最初に取り上げているのは、インドと南アジアで8千万羽近かったハゲワシが、牛に投与された

抗炎症薬が原因で04年には97%以上減少した。ハゲワシがついばまなくなった牛の死骸を餌に野犬が

爆発的に増加し、狂犬病の危険が増している、という事実です。ハゲワシの絶滅を防ぐことと人々を疫病

から護ることが重なっていると言いたいのです。他にも、04年のインド洋津波で、沿岸のマングローブ

林がエビの生簀(いけす)にされていたため津波を防ぐ波除(なみよけ)がなくなり、津波の被害が大きくな

ったこと。05年のハリケーンカトリーナのとき、それ以前の70年間でルイジアナの湿地帯とアマモ

自生地が失われていたため、高潮の被害が一層大きくなったこと、などが書かれています。

 生態系を、こういう防災上の働きだけでなく、食糧、燃料、建築資材、娯楽、発想の源を提供する自然

資本としても、数値的に評価したものが「生態系サービス」です。その価値を金額で評価し、全世界の国

内総生産の合計より大きいとしている経済学者の報告があるそうです。特に今後の世界にとって、水不

足・水質汚染を防ぐ上での森林と湿地の保全は重要だ。アフリカや中国内陸部から飛来する砂塵はユーラ

シアだけでなくアメリカにも被害を及ぼしている。05年の国連報告書は、発展途上国を中心とする7億

5千万人の農村貧困層にとって、環境維持が貧困軽減のカギだと説明している、などとも指摘されていま

す。

 生態系サービス維持を自然保護の基準とすれば、自然保護とヒトの経済利益を対立させて考える必要は

ありません。これまでは自然保護と開発の利害調整で話題にされたのは、魚類や林産物など、すでに取引

されている品目だけだったが、生態系サービスを数値化することで、開発側の専門家との協力の可能性が

出てくる、と主張されています。再生可能性を損なわない方法で地域住民が生態系を経済的に活用するこ

とを認め、さらに持続的な観光資源などとして、彼らの生活向上に利用することを提案する環境保護を考

えようということです。アフリカのマサイ族居住地域などでは、自然公園管理がその方向に動きはじめて

いるとか。(続く)