思うと、ちょっとさびしい。でも暖かくなってわたしが歩き回れるようになったころに、きっとまた来て
くれるでしょう。
グールドの本についての感想が長く中断してしまいました。最後の部分を載せます。
現在の地球温暖化に対する人為的活動の影響。このまま温暖化が続いたときの人のくらしの変化。それ
を調査し、根拠を積み重ね、楽観論に反論し、発言し続ける科学者がいなかったらと想像してみましょ
う。まだ何の対策も行われず、ヒトは破滅への道をまっしぐらに突き進んでいるはずです。宗教が科学に
代わって警鐘を鳴らしたとは考えられません。Aの主張が人々の関心をひきつけたから、Bの領域でも環
境倫理が論じられるようになりました。
科学理論は、例えばナチスがやったような、人体の資源としての利用を禁じないでしょう。実験と観察
で結論を検証できることではないからです。有用な遺伝子を人為的に組み込んだ赤ちゃん(デザインド・
ベビー)の誕生を阻んでいるのは、科学技術の限界ではなく、B領域の論理あるいは感情です。科学は根
拠にもとづく証明と反証を繰り返し、自然についての旧い理論を修正し新しいことを発見しながら少しず
つ前進します。社会は世代の交代を重ねるなかで、倫理観や価値観を変えていきます。時代と状況が両者
関係に緊張と変化を迫ります。
AはBを参照しながら、どの分野に力を入れるべきか、何に踏み込んではならないのかを決めなければ
なりません。BはAを参照しながら多数意見を集約すべきです。両者が敬して遠ざけあう関係であっては
ならない、言論によるものなら激しい意見のぶつけ合いがあっていいのだ、それがグールドの結論です。
わたしはグールドに同意します。しかし、アミニズムや汎神論ならともかく、かたくなに特定の人格神と
その代理人に帰依し、来世を信じてこの世の命を軽んじる人々、根拠のない迷信・占い・オカルト・感情
論で一方的にA領域を侵犯する人々が多いことに対しては、ドーキンスと同じように憤りを感じ、危機感
を抱きます。(このテーマ終わり)