病室の日没

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

 やっぱり言ってみるべきもの、今朝の回診のとき「外出できませんか」と訊ねてみたら、あっさりと許可

が出ました。前の家の人にお願いして車で送ってもらい、いま自宅で書いています。

 
 写真は病室の窓から撮った夕日です。


〔病床日録 前〕

 07・12・21 金 

 いま病室でパソコンに向かっています。南西に眺望が開けたなかなかきれいな部屋です。夕焼けの写真

が撮れそう。ネットにつなげないのが残念。ガン保険の給付を当てにして、一泊3000円の個室にしま

した。5000円のトイレ・シャワー付き部屋もありましたが、貧乏人根性からこれは敬遠。少し下腹が

重いだけで他には何も自覚症状がなく、こんなに元気なのに上げ膳据え膳でいいのか、後ろめたいほど。

いまのところタバコも止められていません。これはたすかるー。

 隣家の人が車を出して、病室まで荷物も運んでくれました。前の家の人は留守宅の雪かきを引き受け、

こちらに来る予定の東京の友人を空港に出迎えてくれると言ってくれました。ほんとうにありがたいこと

です。

 07・12・22 土 

 今のところ医者は何も言いませんが、看護師さんに術後の肺炎を避けるためタバコを止めろと指示され

ました。合併症の危険を覚悟していると一筆入れて吸い続けようか、とも思いましたが、何も言わずに我

慢ができないときだけ下の階の喫煙室に行っています。量を減らし、ふかすだけにするよう心がけて。渡

された手術案内では手術当日ははっきりした禁止ですが、それまでは「禁煙につとめましょう」という、微

妙な表現になっています。

 昨日看護師さんに、冷蔵庫を使うならカードを購入しなければならないと言われ、さっそく買って挿入

し、ウーロン茶を冷やしました。ところが今日入院のしおりを読み返していたら、特別室では備え付け冷

蔵庫の利用料は無料となっています。それで聞いてみたら、あちこち問い合わせて、同じく一泊3000

円ですが、隣の部屋は無料でわたしの部屋はカードを入れないといけない、という返事です。なぜ待遇が

違うのかは尋ねませんでした。単に手持ちの機械を順番に配置しただけかもしれませんが、そうは答えに

くいでしょうから。まあ一日100円のことです。

 さらにしおりには、個室では電話機の貸し出しが可能なので希望者は看護師に申し出て、と書いてあり

ます。看護師さんの溜りへ行って電話機をお願いしますと言ったら、皆さんきょとんとして、中の一人

が、ケータイを使いたいのですかと問い返しました。そこでしおりを見せたら、部屋につなぐところがあ

るかしら、と。わたしが差込口はありますと言うと、事務の人に聞かなければ、だけど今日から3連休な

のでその間は対応できません、という返事でした。

 電話線が来ているのですから、モデムをもってくればネットにつながるようには、できるんじゃないか

と思います。この病院の看護師さんはやさしいし、医療については何も不安をもっていませんが、入院患

者のくらしの快適さを向上させるシステムは工夫の余地がありそうです。患者や家族に年配者が多かった

りして、要求水準が低いのかもしれません。ご近所の同年輩の人にはブログしている人なんかいません。

わたしだとテレビも(これは個室でも1時間50円)CSとまでは言わなくても、せめてBSくらいは欲し

いのに。わたしは民営化促進に賛成ではありませんが、民間病院はこれらの点でもっと進んでいるのでし

ょうか。もっともサービスがよければ、3000円ではすまず、それなりの室料を請求されるのでしょう

ね。

 かつては「病院はホテルじゃなく治療を受ける場所だから、患者は我慢が当然、」がまかり通っていまし

た。個室などVIPか臨終近い患者だけのもの。今はもうそういう時代ではなくなっていると思います。

わたしはこの町が好きだから、寂れていくのは見たくない。病院も経営ですからお客が集まらないと縮小

されます。町民にも入院先に北見や網走の民間病院を選ぶ人が少なくないようです。技術やサービスの評

判が落ちて、情報や金銭面で選択肢がなくて、仕方なく入る人だけになると、要求水準が低くなり、病院

も顧客サービスの面では鍛えられません。そういう悪循環が定着してしまうと、ジリ貧になって経営を維

持できなくなるのではないかと心配です。

 07・12・23 日 

 昨日夕方は日の入りを、今朝は日の出を病院の窓から撮りました。日の出は7時11分。電線と建物が

邪魔をして、広いところで撮るような具合にはいきません。

 昨日は円筒形の道具を口にくわえ、鼻をつまんで口で呼吸し、ぶーぶー音を出す訓練を2分ずつ8回し

ました。術後に腹に力を入れずに痰を出すために肺を鍛えるのだそうです。   

 今日から固形食はなくなり、栄養剤を飲むだけ。プリン味のどろっとした甘い液体です。一日3回20

0mlを2本ずつ。ゆっくり飲んでいると気持ちが悪くなるので、息を止めて一気飲み。それでも続けて

2本は無理で6回に分けて。飲むと空腹感がおさまりますから、だんだん苦痛が少なくなっています。体

はこんなことにも慣れるのですね。

 07・12・24 月(祝)

 もってきたバスタオルを低い枕を高くするために使ってしまい、昨日隣の人に電話して家にある3枚を

持ってきてもらいました。ついでに栄養ドリンク用のコップと保冷水筒も。散歩の方向を変えただけだか

ら気にしないでと、ご夫婦で来てくれました。ちょっと話して長居せずに、洗濯物は出してねと言って引

き上げました。親切でほどのいい人たちです。でも、院内のコインランドリーで済ませたら、奥さんの気

分を損ねるかなー。

 関東から友人が二人来てくれました。看護師さんたちに紹介し、手術中いてくれるので、情報はすべて

開示してと告げました。本人が親戚以上の付き合いだと言っているのに、身内でないのが不安そう。夫婦

親子兄弟姉妹だと安心するのでしょうか。実際には相続で争って相手の死を願っている兄弟姉妹も、憎し

みあって離婚寸前の夫婦もいるでしょうに。

 今日は準備としては、栄養ドリンクを飲み、筒をぶーぶー鳴らし、体力維持のため階段を上り下りする

他に、へそのごみ取りをされました。そのほかの時間は、パソコンに向かったり、本を読んだり。家にい

るよりずっと能率よく読み進むことができます。ただパソコンに向かって考え込んでいるとき、たまらな

くタバコがほしくなって困りました。これから睡眠剤(いくらでも眠れるのでいらないと思うけどまあ言

われるとおりに)と下剤を飲んで寝ます。

 07・12・25 火

 3時半に目覚めました。いつもならトイレの後、眠り続けることもできるのに、眠剤切れの目覚めのせ

いか目がさえて、そのままパソコンに向かいました。これから完全に絶食で、9時からは水分もダメ。3

時の執刀開始までにシャワー、剃毛、浣腸、各種チューブの着装などと、いろいろあるようです。

 日経サイエンス10月号の記事によると、手術での死亡では手術そのものによるものより麻酔関連のも

のの方が多いとか。外科医ほど注目されないけれども、麻酔医の役割が大きいことは知っていました。そ

れでもあらためて、麻酔のメカニズムについてはまだわかっていないことが多く、それだけに経験や技術

が重要なのだと、確認しました。

 わたしの場合、患部を中心に腸管を何センチか切り取って残りをつなぐ、わりあい単純な手術ではない

かと想像しています。麻酔管理や術後経過が順調であれば、回復が早いかもしれません。年末年始にかか

るので、切除部分を札幌に送り生検の結果で化学療法の方針を決めるまで時間がかかり、退院は早くても

1月中旬ということです。