青い湖水と白い雲 インチキ商品
雲の白が対称的で、空の薄い青がその間を埋めています。峠は見慣れて通過することが多いのですが、
時々車を停めて高台に登ると、そのたびにやはり魅せられます。季節や時刻それに天候で、さまざまな表
情を見せますから、いつも新鮮です。
〔インチキ商品〕
あまり大きな扱いではなかったので、見過ごした人も多いと思いますが、今月20日の朝日新聞に電気
蚊よけ器の記事が出ていました。実験の結果、オーム電機の携帯式電気式蚊よけ器に効果が認められない
として、公正取引委員会が排除命令を出した。同社も効果がないことを認めている。消費者からは効果を
疑う声がほとんどなかった。98年3月から先月までに124万個を販売、約4億1000万円の売り上
げがあった。だいたいそんな内容です。わたしも買ったことがあります。一回使っただけで、効かないな
ーと思った記憶があります。抗議も何もしませんでした。
わたしは最近増えたBSや地デジのテレショップ広告に辟易しています。できるだけ録画で見るように
していますが、何かしながら見ているときに番組の間に挟まれると、早送りもできません。特に美容、シ
ェイプアップ、ダイエット、健康食品、保険・金融商品などの宣伝には、人の心の迷いや弱みに付込むよ
うなうさんくささを、しばしば感じます。でも、テレショップの売り上げはネット通販をしのぐ勢いで拡
大しているとか。
電気蚊よけ器は、会社が無効を知りながら4億1000万円売りました。もっと早く実験が行われて結
果が公表されていたら、わたしもムダ金を使わずにすんだのに。インチキ商品の売り上げ総額はどのくら
いになるのでしょね。わたしは経済の情報化を基本的には歓迎しています。しかし情報社会には、人心掌
握に成功すればインチキ商品、インチキ宗教、インチキ思想が瞬く間に蔓延するという、弱点がありま
す。この弱点はどうやったら克服できるのか。商品なら第三者の公平な評価を迅速に拡大することが考え
られます。宗教や思想には?
実はこれは、温暖化や環境悪化に立ち向かうことができる社会への転換を考えていて、突き当たった問
題のひとつです。社会システムはもちろん、美意識や好悪の感情まで含む、個人意識の構造変化が必要な
のでしょうね。検証を重んじる精神の普及がカギになるのではないでしょうか。誰が言っているのかでは
なく、言っていることにどんな客観的根拠があるのかが、常に問われるようにならないと。理屈っぽいの
はいや、スキ・キライで決めればいい。空気を読むのがだいじ。権威や親や上司に逆らうな。教科書どお
り、教師の言うとおりに暗記しろ。そういう社会ではね―。