続天上の花 高度社会保障国家への道 2
1・2枚目の写真はイワブクロ、3枚目はエゾオヤマリンドウ、4・5枚目はメアカンキンバイ、6枚
目はガンコウラン、最後はワタスゲ。
〔高度社会保障国家への道 2〕
国際貢献の体力を維持するにも高度社会保障の財源を確保するにも、経済力の高い水準を維持しなけれ
ばならない。中米のコスタリカは憲法で常備軍をもたないと決めている。だが、国民は豊かとはいえず人
口も300万人に満たないため、アメリカなど外国からの経済支援を必要としている。だから、ニクラグ
アやパナマに対する攻撃・訓練基地をアメリカに提供したり、同国のアフガニスタンやイラクへの出兵を
支持したり(04年の最高裁による違憲判決で撤回)、しなければならなかった。日本のGDPは、思い切
った改革を進めないと低落すると思われるが、まだいまのところ世界で2位(市場為替レート)または3位
(購買力平価)である。国際貢献で存在感を示すにはこの経済力が必要だ。一人あたりのGDPはどちらも
15位で、フィンランド(11位と7位)よりは低いが、コスタリカ(67位と61位)よりはだいぶ高く、
うまく所得再配分を実施すれば辛うじて高度社会保障が可能、という水準にある。
資金と労働力は経済力にかかわる特に重要な要素だ。まず資金について。収益率が高い形の資本蓄積は
国の経済力を高める。豊富な金融資金を利用できれば、競争力の強い業種・業態への転換が容易になる。
国境を超えて移動するグローバルな金融資金の動向で国の景気が左右される傾向が、どんどん強くなって
いる。国民の富がタンスに退蔵されて投資・金融に向かわなければ、金融資金が乏しくなる。財政・金融
政策が資本蓄積、国内外からの投資を妨げてはならない。法人税などの企業課税、利子・配当課税は配慮
が必要だ。
企業課税は、企業が使用する社会的インフラに支出される公金の水準に抑えて、低額にすべきだと思
う。それ以上の課税は、資本の蓄積、利子・配当、経営報酬・労賃、などの上前をはねることになる。二
重取りになる企業課税は原則0にして、利子配当、報酬労賃への所得税に一本化すべきだ。利子・配当の
分離課税はやめ、他の収入とあわせた総収入に課税する。健康で文化的な最低水準以下は非課税。高収入
者への累進率はいまより大きくする。相続税は、出発点の平等をめざし、非課税の限度を超える部分につ
いては思い切って高く設定する。
二重取り企業課税は原則的には0にして、二酸化炭素排出量に応じて課税する環境税を作り、排出権取
引市場を育てる。さらに全体としてはゼロベースで、政策誘導税を課し、その収入で優良企業に助成す
る。例えば、環境負荷、非正規雇用労働者・女性・外国人労働者への差別、系列弱小企業へのいじめなど
に課税する。循環型エネルギー開発、省エネ設計住宅、同一労働同一賃金の実現、労働条件向上などで、
すぐれた実績を上げる企業には助成する。
インフラ負担分、環境税、誘導税などを除いて、企業活動には課税しない。実質的にすべて、個人の収
入に応じる所得税と公的保険税として徴収する。それだけでは高度社会保障の原資にたりないので、消費
税を20から25%に上げる。ただし衣食住の必需消費分には課税しない。必需消費と選択消費の線引き
は複雑なので、戻し税のほうがいいのではないだろうか。例えば、国民一人の必需消費を年50万円と想
定し、50万円×税率分をすべての国民に支給する。20%なら10万円である。生活費に地域差はある
が、地域格差是正のために、全国一律の基準額でいい。
次は経済にかかわるもう一つの基本要素・労働力について。(続く)
目はガンコウラン、最後はワタスゲ。
〔高度社会保障国家への道 2〕
国際貢献の体力を維持するにも高度社会保障の財源を確保するにも、経済力の高い水準を維持しなけれ
ばならない。中米のコスタリカは憲法で常備軍をもたないと決めている。だが、国民は豊かとはいえず人
口も300万人に満たないため、アメリカなど外国からの経済支援を必要としている。だから、ニクラグ
アやパナマに対する攻撃・訓練基地をアメリカに提供したり、同国のアフガニスタンやイラクへの出兵を
支持したり(04年の最高裁による違憲判決で撤回)、しなければならなかった。日本のGDPは、思い切
った改革を進めないと低落すると思われるが、まだいまのところ世界で2位(市場為替レート)または3位
(購買力平価)である。国際貢献で存在感を示すにはこの経済力が必要だ。一人あたりのGDPはどちらも
15位で、フィンランド(11位と7位)よりは低いが、コスタリカ(67位と61位)よりはだいぶ高く、
うまく所得再配分を実施すれば辛うじて高度社会保障が可能、という水準にある。
資金と労働力は経済力にかかわる特に重要な要素だ。まず資金について。収益率が高い形の資本蓄積は
国の経済力を高める。豊富な金融資金を利用できれば、競争力の強い業種・業態への転換が容易になる。
国境を超えて移動するグローバルな金融資金の動向で国の景気が左右される傾向が、どんどん強くなって
いる。国民の富がタンスに退蔵されて投資・金融に向かわなければ、金融資金が乏しくなる。財政・金融
政策が資本蓄積、国内外からの投資を妨げてはならない。法人税などの企業課税、利子・配当課税は配慮
が必要だ。
企業課税は、企業が使用する社会的インフラに支出される公金の水準に抑えて、低額にすべきだと思
う。それ以上の課税は、資本の蓄積、利子・配当、経営報酬・労賃、などの上前をはねることになる。二
重取りになる企業課税は原則0にして、利子配当、報酬労賃への所得税に一本化すべきだ。利子・配当の
分離課税はやめ、他の収入とあわせた総収入に課税する。健康で文化的な最低水準以下は非課税。高収入
者への累進率はいまより大きくする。相続税は、出発点の平等をめざし、非課税の限度を超える部分につ
いては思い切って高く設定する。
二重取り企業課税は原則的には0にして、二酸化炭素排出量に応じて課税する環境税を作り、排出権取
引市場を育てる。さらに全体としてはゼロベースで、政策誘導税を課し、その収入で優良企業に助成す
る。例えば、環境負荷、非正規雇用労働者・女性・外国人労働者への差別、系列弱小企業へのいじめなど
に課税する。循環型エネルギー開発、省エネ設計住宅、同一労働同一賃金の実現、労働条件向上などで、
すぐれた実績を上げる企業には助成する。
インフラ負担分、環境税、誘導税などを除いて、企業活動には課税しない。実質的にすべて、個人の収
入に応じる所得税と公的保険税として徴収する。それだけでは高度社会保障の原資にたりないので、消費
税を20から25%に上げる。ただし衣食住の必需消費分には課税しない。必需消費と選択消費の線引き
は複雑なので、戻し税のほうがいいのではないだろうか。例えば、国民一人の必需消費を年50万円と想
定し、50万円×税率分をすべての国民に支給する。20%なら10万円である。生活費に地域差はある
が、地域格差是正のために、全国一律の基準額でいい。
次は経済にかかわるもう一つの基本要素・労働力について。(続く)