チングルマ

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 山歩きする人に、「あなたが代表的な高山の花と思うものに一票を」と呼びかけたら、チングルマはま

ちがいなく上位に来るでしょう。ガンコウランやコケモモはいかにも「高山植物」って感じだけど、あま

り花が目立たない。コマクサはきれいだけど、見つかる場所が限られています。

 わたしがはじめてその美しさに目覚めた高山植物がこの花です。18歳だったでしょうか、大学に入学

したお祝いにと、自身大学の最終学年にいたいまは亡き兄が、わたしを大雪山に連れてきてくれました。

当時の貧乏学生の旅行ですから、固い普通車の座席で一昼夜過ごした末に、ようやくたどり着いた北海道

です。まだ旭岳ロープウエーはありませんでした。愛山渓だったと思いますが、ふもとの山小屋から早朝

出発し、頂上近くまでは来たものの、疲れといまにも降りだしそうな天気のため、登頂をはたせず引き返

しました。このとき霧の中でチングルマの大群落に出会ったのです。花の尽きる先が見えませんから、は

てしなく咲き広がるような印象でした。

 今回は、夜明けに通過した途中の低い峠は濃い霧の中でしたが、ロープウエー山ろく駅の高さでは

緑がはえる青空です。歩きはじめは、時おり雲が流れたり集まったりしたものの、すぐに晴れて、輝く

陽光の下でこの山の白い花に再会しました。高台ではすでに綿毛になり、微風が来ると銀色のさざ波が

渡ります。くぼ地の雪渓あとでは花の盛り。