天上の花 高度社会保障国家への道 1

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 赤っぽいつぼ状の小さな花がエゾノツガザクラで、白いのはチングルマです。


 〔高度社会保障国家への道 1〕

 小沢さんが健康問題か何かで発言力を失ったり、与党が参議院で無所属や野党から十分な議員を取り込

んだりすれば別だが、そうでなければしばらく政治は停滞するだろう。市場原理主義的政策や懐古的精神

主義の政治的押し付けは足踏みするということだ。だがそれで事態がいいほうに向かうわけではない。経

済のグローバル化は進み、財政赤字は減らず、地球環境は悪化し、低所得者のくらしは苦しくなり、学

校は子どもの気力を奪い続ける。そして政治の停滞が景気に及ぼす悪影響が大きくなれば、政局は一挙に

流動化する。総選挙が早くなるかもしれない。それで民主党中心の内閣が誕生したらどうなるか。

 いま民主党は高度社会保障につながる政策を掲げている。労働市場変革、環境対策、子育て支援などで

も、与党より具体的で踏み込んだ約束をしている。だがその財源について説得力のあるプランを示してい

ない。なぜ示せないのか。経済と社会と国家のあり方、財政再建原発を含むエネルギー政策、政治・行

政改革、教育問題などで、高度福祉と整合性のある大きな国家ビジョンを描けていないから。アメリカ型

の自由競争至上主義と懐古的新保守主義は矛盾しているので、小泉・安倍路線はいずれ破綻する。しかし

民主党が低負担と高福祉を両立させるという、魔法を使えるわけでもない。このままでは民主党の政権

は、実現したとしても、短命に終わる。高負担低福祉の小泉・安倍路線も、低負担高福祉の民主党路線

も、経済力衰退と生活環境のさらなる悪化をもたらすだけの、混乱への道である。

 わたしの主張は、いまの日本で繁栄を謳歌している少数者には苦い薬になるが、大多数の中・低所得者

には希望が見えてくるような公負担高福祉路線を堂々と訴えて、変革に期待する国民多数の支持を集める

こと。その路線の中には、新しい経済・社会・国家の姿が浮かび上がっていなければならない。

 まず国家安全保障政策について。日本と日本人の安全を守るため、武力ではなく、貧困撲滅・環境対

策・災害救助・平和構築などで、大規模な非軍事的な国際貢献の実績を積み上げ、世界にとってなくては

ならない国になる。最新戦闘機やミサイル防衛網などのための巨額な軍事費は、平和的国家安全対策と国

内の高度社会保障の原資に回す。自衛隊は非軍事的国際貢献と国内災害救助を主要任務とする組織に改組

する。武器と軍事技能者は必要最低限にとどめ、医療看護・災害救助・防災防疫・灌漑給水・生活支援・

起業支援と流通仲介、地域ガバナンス援助などに必要な、機材と人材を大量にストックする。
 
 隊員は、武力行使のない人命と生活の救助のために、世界中に派遣される。組織的な有給国際ボランテ

ィアである。情報サービス社会が求める技能の獲得を、公費で支援されるということになれば、隊員に志

願する若者や退職者の応募は増える。奨学金つきの医学生看護学生を大幅に増やし、卒業生を自衛隊

雇う。必要なら国内にも派遣する。仁術ならぬ金儲け術に熱心な医者が反対しても、彼らは国民のなかの

絶対少数者なのだ。彼らが医学生育成を拒めば、外国、特に新興国から招聘すればいい。やがて母国に赴

いて国民を支援する医者の卵の教育なら、応募する人も少なくないはずだ。こういう国家安全保障戦略

こそ、交戦権とそのための軍備の否定を宣言する憲法9条が、積極的な武器になる。(続く)