路傍の桜 日本の右傾化 1

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 21日に能取岬からの帰路で見た路傍に一本だけ咲く山桜です。刑務所の桜並木のような華やかさはあ

りませんが、葉と入り混じる風情に素朴な魅力を感じました。


〔日本の右傾化 1〕

 今年の各新聞の世論調査では改憲を肯定する意見がおおむね過半数に達した。新聞の社説では、読売、

産経、日経が9条改定・集団的自衛権肯定の立場である。毎日は、国連決議による武力平和維持活動につ

いて、どこまで踏み込むか、憲法解釈変更と改憲のどちらをとるのか、議論すべきだと主張している。朝

日は、改憲反対・9条維持だが、自衛隊を公認する平和安全保障基本法を作り、国連PKOにもっと積極的

に参加せよ、と言う。自民党には、自衛隊を軍と位置づけて、その武力行使の道を開くことに賛成する政

治家が圧倒的に多く、民主党にも同意見の議員が少なくない。

 戦後約40年間は選挙で公然と改憲を掲げる党は必ず議席を減らした。集団自衛権と国外での武力行使

の否定は、「自衛力強化」を唱える保守政治家でさえ反対できない常識だった。いまでは小泉・安倍両政

権のもとで、後方支援とはいえブッシュのイラク戦争への加担が続き、武器を携行する自衛隊員の海外派

遣が常態化し、ミサイル防衛への参加など、集団自衛行為への参加がなし崩し的に既成事実になった。そ

してこの事態を、国民の大多数は傍観している。

 あきらかに潮流が変った。軍事だけのことではない。社会生活でも、学校での性教育を規制し、教育内

容への国家管理を強化し、権力で家族関係に干渉し、人権より国家を重視する、法律や制度や既成事実が

着実に前進している。そして心の領域では、若者を中心に広がった価値観喪失による空洞化が、オカルト

神秘主義や短絡的な国粋・排外主義につながる危険が大きくなった。

 日本は社会の深部から右にシフトしている。今後何回かに分けて、その原因と対応を考えてみたい。