財政破綻はだれのせい(続続)

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 今朝は明るい陽を受けて木々に雪の花が咲いていました。


 食糧や石炭の生産を担って、戦後経済復興の礎となった地方が、お役御免で寂れていく。残された人々

が観光事業に再起をかけたのは、やむをえない選択だったのではないでしょうか。しかしフィンランド

ように、都市住民が子どもの教育費や病気・老後の備えを心配をせずに、自分の楽しみに出費する方向へ

は日本は進みませんでした。彼らが年休さえ取らずに長時間の残業で稼いだのでは、観光事業が栄えるは

ずがありません。

 90年代まではそれでも、公共事業と地方交付金で政策的に都市から地方へ所得再配分が行われていた

ので、多くの地方自治体は破綻までには行きませんでした。小泉政権の下で、この所得再配分が大幅に減

ったことが、地方自治財政破綻の最大の原因です。夕張市の失政とは、観光事業に大きな投資をした

にもかかわらず、投資に見合う収入が得られなかったことです。

 その罰として国は、この地域の住民から、病院や、小中学校や、図書館を奪い、過酷な地方税・国民健

康保険料・上下水道料金・ごみ収集料金を取り立て、公共社会サービスが成り立たない水準まで市職員を

削減することを求めています。工業製品の輸出で稼ぐことにばかり目が行って、社会保障制度を充実させ

て国内の情報・サービス消費を喚起する努力が国に欠けていた責任を取ろうとせず、地方住民に責任を転

嫁して、再び性懲りもなく棄民を繰り返そうとしている、としか思えません。

 フィンランドのように、教育費を完全に無償化し、国家規模の社会保障を充実させれば、地方から都市

への金の流れがかなり解消します。そして例えば、東大を夕張に移転し、その他の地方に設備・人材の充

実した国立大学を作る。研究開発費の公的負担の飛躍的拡大は、経済が情報・サービス化する世界で経済

競争を生き残るカギです。特に医療・介護・社会福祉など、社会サービスの専門家を大量に育成して、都

会からあふれるようにする。それでも余れば、一部の戦闘要員に代えて自衛隊に収容し、武器ならぬ医療

機器や医薬品を装備させて、圧倒的に社会サービスの不足している国々に派遣します。そのほうが軍備強

化よりはるかに多く、日本の安全に寄与するはずです。なかでも看護師は、いまの途上国はもちろん、ほ

とんどの先進国で今後大量に不足すると予想されています。

 費用は、所得税累進課税強化、それに主食・医療介護などの必需消費を除く消費に、20%を超す課

税をして賄います。こういう大幅な方向転換をしないと、地方格差解消が望めないだけでなく、グローバ

ルな情報・サービス化が進行するなかで、日本経済の先行きが危うくなります。