『グレイズ・アナトミー』ーー学生と指導者も恋では対等

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 日本のテレビ・ドラマ、例えば『のだめのカンタビーレ』なんかだと、主な登場人物を二人取り出し

て、どちらが上位に設定されているかと問えば、いつも答えがある。師と弟子だったり、先輩後輩だった

り、能力や才能がちがっていたり、情熱的に引っ張る者と引っ張られる者だったり、面倒見る側と見られ

る側だったりする。ところが、『グレイズ・アナトミー』というアメリカのテレビ・ドラマだと、仲間で

ありライバルでもあるインターンのどの二人を選んでも、どちらがリードする側であるかはけして言えな

い。全員が完全に同格なのだ。女子医学生と指導する医師の恋愛が二組描かれている。もちろん仕事の上

では指導する・されるの関係だ。ところが男と女として向き合う場面になると、上下関係はまったくなく

なり、完全に対等だ。

 『のだめ』と『グレイズ』だけのことでない。欧米のものでは友情や愛情は同じ高さに立つ二人の関係

である。日本や韓国のものではたいてい、リードする側とされる側、庇護するものとされるものなどの、

高低差が描き込まれている。上下関係が背景の場合も、主導権の変化や転倒がドラマ展開に関わっている

場合もある。どちらにしても、完全に水平な二人の友情や恋愛を描写している作品は思い出せない。ゲル

マン的な「同格の原理」が伝統の社会と、儒教的序列秩序が無意識にまで染み通ってしまった社会のちが

いではないだろうか。

 こんなことを書いたのは、第二部で連載した『フィンランド・・・』のリライトを進めながら、いま日

本的な序列意識のところを考えていたから。初めの文章を読み返していたら、特にこのあたりは抽象的で

なんとも説得力がない。いまさらそれに気づくなんて、わたしはほんとにバカだね。バカはバカなりに考

え続けると、新しい資料に気づくことも、少しは前よりわかってくることもあって、それはそれで楽しい

んだけど。

 ところで、あのころサイタマンさんがコメントしてた韓国の賃金水準のこと。引用したこの資料の数字

は明らかに間違いだね。リライトで断りは入れたけど、総務省資料で02年の平均賃金をドル換算して比

較すると、韓国は日本の64%、中国の13.7倍だもの。

 たまには華やかな色彩を、ということで、今日の写真は北見緑のセンターで温室に咲いていた花。札に

はエンジェルマムと書いてあった。