成熟の形を見たーーよしもとばなな著 『ひとかげ』

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 おとといの日曜日で、野付牛公園(写真は先月25日のもの)は今年の営業を終えたと、フリー・ペーパーに書かれていました。パークゴルフ場も閉鎖されるところが増えています。緑のセンターも木々の雪囲いが終わり、冬季の室内行事に備えているそうです。道東はまっしぐらに冬に向かっている、そんな印象です。
 
 よしもとばななの『ひとかげ』を読みました。彼女自身の14年前の作品『とかげ』をリライトしたものです。人と人が触れあって何かがいき交い、お互いに力がわいたりしこりが緩んだりする、そういう場面が静かに心に浸み込んでくる作品です。
 『とかげ』も収められていました。読み比べると、前作のごつごつして引っかかるようなところが削られて滑らかなのに、説得力が増しています。彼女はいま40歳を越えたのでしょうか。若い鋭敏な感受性によって掬い上げられたものが、より深く表現されています。いい形の成熟が感じられました。年取っても硬直することなく、柔らかなままで成熟できれば、理解力が広がる分だけ心が深くなるのだと、感心しました。