フィンランド・モデルは好きになれますか 18

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第一部
 写真は朝のびほろ霊園近くで撮った花です。図鑑で調べたらマツヨイセンノウという名前みたいです。
第二部
フィンランド・モデルは好きになれますか 18
2 フィンランド人の一生
(4)社会人・納税者として、そして老齢期
〔職業に関連する所得格差〕
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まず学歴別。高校と大学の中間、日本の短大・高専フィンランドの職業学校(Lowest level of tertiary education )、高等職業学校(Undergraduate level)は、制度がちがいすぎるので除外した。日本の中卒とフィンランドの総合学校終了(Basic level)、およびそれぞれの大卒は、標準年齢で日本が1年下になるものの、ほぼ対応する。むこうでは大卒と大学院卒の違いが大きいので、院卒(Postgraduate level)の金額も載せる。韻砲脇鐱椶留∥瓦凌字がなかった。生涯賃金の数字が見つからなかったので、同じような年齢(フィンランド:40-44歳、日本:40と45歳の所定内賃金の中間)で比較する。ともに月額。日本では男女差が大きく、韻砲話暴?未靴なかったので、中間の数字を使う。
                   表 7
              フィンランド     日本
         中卒   28万0670円  28万6250円   
         高卒   28万0670円  34万0625円  
         大卒   46万4620円  45万2750円  
院卒   51万3370円 
                   03年     04年
 
 フィンランドでは大学や高等職業学校に進学するために高校へ行く。進学しなければ、職業能力では総合学校終了と同等とみなされるから、中卒と高卒で賃金が同じになるのだろう。高校でなく職業学校を卒業すればもちろん中卒より有利である(31万4340円)。日本では学歴に職業能力の証明とは別な意味もある。だから、両国の中卒収入は大卒の60%と63%でほぼ同程度なのに、日本の高卒は75%になる。
 次に職種による格差を見る。日本は業種別なので、最低の衣服・繊維業(A)と最高の電気・ガス・熱供給・水道業(B)の月額給与を比較する。従業員規模別(30人以上、5人以上、1-4人の3区分)だから、1-4人を除く二区分の中間を取る。フィンランドは仕事内容別なので、日本のAに多いと思われる単純労働
(Elementary occupation)をAとして、日本のBのほとんどと思われる技術職と専門職の平均をBとする。
                     表 8
               フィンランド     日本
           A    23万0750円  20万3000円
           B    35万9514円  59万9000円
           A/B      64%      34%
                  03年      04年
  
 日本だけの数字だが、全業種平均で常用従業員規模別の月額給与を見ておく (04年)。
                     表 9
   A.30人以上:37万7000円、B.5人以上:33万3000円、C.1-4人:19万3000円  
    C/A:51%

 フィンランドの常用被庸者の給与・賃金格差は、日本に比べて小さい。社会保障の恩恵は低収入の層により大きいから、実質的な社会格差はもっと小さい。所得格差はフィンランドでは主として仕事内容の違いから生じている。より高度な職業能力を獲得しようとする人が進学し、結果として収入も多くなる。教育機会が家庭の収入に左右されないシステムは、進学機会をどの層にも開放しているので、所得格差による社会層の固定にマイナスの作用を及ぼす。
 日本では勤める会社の規模や格も所得格差に影響しているようだ。こちらでは進学が、よりよい収入を期待できる社会的地位への、パスポートと考えられてきた。そして、地位の格差は大きいのに、地位と職業能力が必ずしも一致しないと思われ、学歴に対する個人的期待と社会的不信が共存することになった。社会的不信はあっても、すでに地位を確保した層にとって、学歴と学閥は、高い地位を自分たちの周りに囲い込む暗黙の同盟として機能している。このメリットにこだわる人は、本音では、家庭環境に恵まれた子どもが進学に有利なシステムの破壊に熱心になれない。学費の完全公費負担と就学者の生活保障は、高所得層の既得権を侵害する。
 (この項続く)